ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

寂しい母

急に日本の母から泣くような声で電話がありました。日本時間の朝の6時頃だと思います。

「寝られなくて...寂しくて...お前も一人だったことが多かったから寂しかったんだろうね...90近くまで長く生きているとは思わなかった...耳も悪いし頭も悪いし...息子や義娘に迷惑かけてつらい...お前はなんでそんなに遠くに行ってしまったんだろうねぇ...」と、私が相槌打ってもゼンゼン聞こえないようで一人で喋ってました。

「聞こえるぅ?!」と訊くと「え、聞こえない」と言うので、耳が遠くなっていて、こちらの言ってることは殆ど聞こえてないようでした。喋りたいだけ喋らせてあげました。

朝早くに起きてしまって、話す相手もいなくてこちらに電話してきたのだと思います。誰も話す人がいないからって国際電話までしてくるってのも何だかなぁ、とは思います。

私は若い頃から一人で寂しいことが多かったのですが、それが今となっては良かったと思うようになりました。寂しさに強くなったのです。今はソウルメイトの相棒がいるので精神が満たされています。若い頃、兄弟姉妹や友達とワイワイ楽しく過ごしてきた人は、老いて一人になるとその寂しさに耐えられなくなるようです。

昔、私の寂しさを母は分からないと思っていました。ところが今、神様がその寂しさを老いという悲しさと一緒に母に嫌と言うほど分からせようとしています。神様、もういいです。私は母を恨んでいません。どうか母を楽にさせてあげて下さい。

Stephen Hawking博士

きのうOxford大の話をしたら、今朝方スティーブン・ホーキング博士が亡くなったというニュースがあったので、何となく不思議な気がしました。

ホーキング博士が生まれたのはOxford、大学もOxford大。その後Cambridge大へ進み自宅もCambridgeへ移動。Oxfordで生まれてCambridgeで亡くなった。

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全身の筋肉が麻痺しても頭脳は麻痺せずに使うことが出来るということを博士が証明してくれました。徐々に麻痺が進み、わずかに動く手を使ってコンピューターを操作していたけれど、その手も動かなくなってきて、最後は頭脳の動きを察知するコンピューターで話しをするようになっていましたが、ホーキング博士の場合、人間の頭脳が身体という容器に入っているように思えました。

昔『The Twilight Zoon』だったか『The Outer Limits』だったか、TV番組で、容器に入った脳が喋るというSFストーリーがあったのを思い出しました。当時は「そんなこと絶対ありえない」と思いましたが、今は現実味を帯びた話となりました。近い将来、人間の脳をロボットに入れて動かせるようになるかも知れません。面白い展開になりそう...。

DODO

英国Oxfordにある博物館に、絶滅したドードーバードの剥製があると相棒が教えてくれました。但し、残念ながら実物剥製は崩れ、現在は頭と足だけ残っていて、剥製のリプリカがあるようです。

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ドードーバードの絵を見ていたらハッと思い出したモノがあります。

ビートルズのイエローサブマリンに出てくるJeremy Hillary Boob PhD (aka Nowhere Man) のカトゥーン。あれは絶対にドードーバードが原型になっていると思います。

Oxford大にはビートルズ研究クラスがあるようですが、それとこれとは関係ないかな。しかし『不思議の国のアリス』にドードーバードが出てくるのは、著者がOxford大に在籍していたことが大きく影響していると思います。

サマータイム

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NY市、早朝に雪が降っていました。

冬も終わりの名残り雪。10時過ぎた今はもう雨に変わってきています。

こちらは気が早いことに2日前の日曜日に1時間前に進めたサマータイムになりました。日本はサマータイム導入していませんよね?なるべく自然のままにしておく方が面倒なことがなくていいと私は思うのですけど...。

NY市の映画館その後

5年前に『NY市の映画館のイスの汚さ』について書いた事があります。その時は、あることないこと少し大げさに(ユーモアのつもりで)表現したイラストを入れて座席の汚さを伝えました。参考までにこれが5年前に書いた欄のリンクです。

http://nykanjin.hatenablog.com/entry/20120614/1339703936

NY市、最近イスを新しくしている映画館が増えてます。あまりに汚くて変えねばならない時期であることと、チケットを買う時に座席指定をすることを始めたので、イスの置き換えをする機会を利用して新しいイスにしたのかも知れません。NY市民の観客の50%はマナーが悪く、ポップコーンが飛び散らかりコーラが床にこぼれ、いくら新しくしてもすぐ汚れるとは思います。

殆どの映画館は、デジタル化によって最近の若者が映画から遠ざかり、館内には空席が目立つこの頃です。映画制作方面でもストーリや脚本に良いものが少なくなり、加えて俳優たちの質の悪さも手伝い、映画界に改革の時期が来ているような気もします。良い方に変わっていって欲しいものです。

きょうもエッチラオッチラ

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今日も運動代わりにエッチラオッチラ、靴10足ぐらいと古着を詰めた荷物を引っ張ってサルベーションアーミー(SA)まで20ブロック歩いていきました。午後5時近くになっていたのですが、7時まで開いているはずなので、ゆっくり歩道沿いの小売店などを見ながら歩いていきました。

SAまで来ると、バックバックを背負った男の人が一人つっ立っていましたが、私はその人はたまたまそこに立っているだけだと思って、無視して中に入ろうとしました。すると「丁度閉まる前の時間に間に合ったね」とその人が言うのです。ハッとしてよく見ると、シャッターが上3分の1ほど閉まりかけていたのでした。「7時まで開いてると聞いていたのですが...」というと「ここは5時に閉まります」という答え。その人は私がエッチラオッチラ荷物を運んで来るのをブロック先に見つけて、閉めるのを待ってくれていたのだそうです。それを聞いて、とてもありがたかったです。20ブロック運んできて閉まっていたらまたエッチラオッチラ自宅まで運び戻さねばなりませんでしたから。あー、ラッキーだったなぁ。

Itzahk と The Death of Stalin 観ました

Itzhak

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Itzhak Perlmanの日常を追ったドキュメンタリー作品。

奥様との馴れ初め、受賞式、公演、生徒とのレッスンの様子などなど紹介しています。彼のファンであれば興味ある作品だと思います。

あまりクラシックを聴くことのない私ですが Itzhak Perlman (P氏)のバイオリンの音(ね)には魅せられています。一度リンカーンセンター近くのスーパーで車椅子のP氏を見掛けたことがありました。著名なバイオリニストが買物をしているので驚いたのですが、P氏は気さくな人でよく買物をするようです。

作品の中で、友人であるAlan Alda氏がP氏のアパートを訪れるシーンがあり、Alda氏を街でよく見かける私にとって、何だか知り合い二人をみているような錯覚に陥りました(笑)。

P氏の奥様は顔がシワだらけなのですが、とてもステキな女性に思えました。若い頃、P氏のバイオリン演奏を聴いてP氏の虜になってしまい、彼女から結婚を申し込んだそうです。それから50年以上経った今でも、P氏のある時の演奏を聴いて「彼のあの音色、私が結婚を申し込んだ時と同じ音を出していたのよぉ」と有頂天になって話す彼女はとても5人も子供を産んだ人とは思えない初々しさがありました。

さて、私が勝手に推察していることがあります。小児麻痺の後遺症で足が使えなくなったP氏は松葉杖を使って歩きますが、そのため腕の筋肉が鍛えられて、あのような力強く幅のある音色が可能なのではないでしょうか。P氏が演奏をしている時はバイオリンが同氏の体の一部になっているように思えるのです。P氏の音色にある暖かさは人柄のせいでしょうか。

 

The Death of Stalin

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この作品、スターリンとその取り巻きの政府要員をコメディアン調に風刺していますので、ロシアでは上映禁止となったそうです。

コメディであっても、人をやたらと打ち殺すシーンは共産主義の上層部のギャングのような恐ろしさを再認識させられます。人海戦術を平気でするのが共産主義上層部の連中。彼等は人命を使い捨ての弾だと思っています。

プッと吹き出したくなるユーモアも多々ありましたが、全体に特出した作品という訳でもありませんでした。

共産という名の下(もと)に民から富を吸い上げる政府上層部とその恐怖政治が、今でも共産圏でまかり通っているということ、こんなコメディからでもそのバカバカしさが認識できるのに、なぜ独裁政権がこの地球上で現在いまだに続いているのか、不思議でなりません。