ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

馬車馬のID番号

朝11時の医者のアポに行くため、セントラルパークサウスを歩いていました。その辺りにはいつも馬車が数台客待ちしています。普段は馬たちの顔を見ながら歩く私が、きょうはふと馬の足元に目が止まりました。延べ40年以上住むニューヨークですが、この事に気付いたのはこれが初めてです。馬の左前足の蹄に四桁の数字が彫り込まれているのです。エッと思って次の馬の蹄を見ると、やはり四桁彫り込まれていました。次の馬もその次の馬も..。これは馬のIDか?ライセンスナンバーか? そう思いながら馬を見ていると、何だか悲しくなってきました。馬が奴隷のように思えてきました。後で調べたら、この番号はやはりNY市の馬車馬のID番号なのだそうです。蹄と言えども身体、何も身体に彫り込まなくとも番号付のゼッケンを付ければいいじゃないか、と私は思うのですけど。

【余談】もう35年ほど前になりますが、私は馬と話したことがあります。カリフォルニア北部のサンタローザという町に居た頃、近くに馬を飼っている牧場がありました。ある日、散歩をしていた私は白っぽい馬が柵の向うにいるのを見つけ、柵に近付きました。すると馬が近寄ってきたので、ハイっと挨拶すると、馬は鼻先で私の腕を押すのです。押した先には藁のような枯れ草がはえていました。『アア、これが欲しいのか』と思った私は枯れ草をちぎってあげると、馬は美味しそうに口をモゴモゴさせ、食べ終るとまた鼻で押します。『もっとくれ』と言っているのが分かりました。そうやって、しばらく馬と話をしていたことを記憶しています。あまり良い思い出のある頃ではなかったのですが、このことだけはホンワカとした思い出となっています。初めて会った私なのに、あの馬は人馴れしていたのかな。