ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

格差

相棒の職場のボスは、相棒の40年来の親友でもあります。その親友の娘さんが婚約しました。昨日はその婚約パーティがありました。娘さんはとても綺麗で可愛らしく、お父さん似で心も大変優しい人。婚約相手の青年は有能な弁護士の卵で、一見プリンスウイリアムにも似た長身で細身の人。まるで絵のようにきれいな理想的なカップルです。この娘さんのウエディングドレス姿はさぞ美しいことだろうと思います。

この日は朝から雨足が強く、道路のあちこちに小さな車なら沈んでしまいそうな池が出来ていました。それでも、池をかき分けかき分け、招待された人たちは皆出席しました。婚約パーティにはギフトは不要らしいのですが、相棒は一番の親友の娘さんなので、心入れが強く、レノックスのプラチナの大皿をお祝いに持って行きました。まるで結婚式のお祝いのようで私は少し照れくさかったのですが、相棒は社交辞令が苦手な無垢な人なので、綺麗に包むお手伝いをいたしました。

パーティでメッセージを読み上げる父親の「娘は私たちの愛の賜物です。娘ながら大学も3年で終える優秀な頭を持ち、親思いで優しく美しい...」という、別の人が言えば言い古されて陳腐な言葉も、この相棒の親友が言うと大変真実味を帯び、胸が打たれて目が潤んできてしまいました。本当に優しく娘思いの父親の、珠のように美しく優しい娘さんなのです。そして、義理の父親となる人に応えるメッセージを読み上げる青年は「彼女のお父さんは、有能な弁護士であるだけでなく、人間としても非常に人格者であり、僕はお義父さんの半分でも立派な人になるよう努力したい...」と言っていましたが、未来の婿の言葉に未来の義父は鼻を赤くして眼をしばたいていました。な、なんと、世の中にはこんな御伽噺のような人たちがいるもんだろう、と私は感心したものです。

パーティの後、相棒と一緒に義母を見舞いに行きました。息子の姿を見ると「誰も私のことを思ってくれないー」「みんな私を置いてけぼりにして逝ってしまったー」「私の将来はないー」と90歳になろうとする老婆は泣き喚き始めました。子供もいない50半ばの一人息子の将来よりも自分の将来しか考えられない母親。話すことと言えば自分のことだけ。ステキな人格者の家族の集まりから、こ、この格差! 何やら奈落に引きずり下ろされたような気持になった私です(笑)。