ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

病室の義母(3)

三日前、義母があのように元気だったのはモルフィネを投与されたからだと分かりました。担当医によると、義母が極度の鬱状態になったため三日前は鎮静剤とモルフィネを投与したとのことでした。あの様な躁状態になったのも当然です。二日前は躁状態と言うほどではありませんが、笑いながら話すことなど全くなかった義母が軽く笑いながら辻褄の合わないことを話すのです。目は焦点が合っていません。昔なら気狂いと表現する状態です。躁鬱で目が離せない義母に24時間付添人が付くようになりました。相棒は、母親はもうダメだと思ったようです。

昨日の義母は、医師が鎮静剤とモルフィネの投与を中止したため、少し落ち着いていました。付添いの人が義母は食欲がないと言います。私が義母はチキンスープが好きなのだと言うと、病院のキッチンにそう伝えておくと言ってくれました。ところが暫くすると義母は自分から「チキンスープが飲みたい」と言いだしました。ちょうど昼食と夕食の間で、病院に食事を頼むのも気が引けた私はロビーのカフェテリアに下りていってチキンスープを買って来ました。義母は美味しそうに全部飲みました。

時々、「ママ、ママ、ヘルプミー」とウワ言を言う義母について、私が付添いの人に訳を話しました。義母は幼い時に誤って右目をハサミで突き刺し、右目は義眼であること。その時、義母は母親の助けを泣いて求め、今、その時の強い衝撃の記憶が戻ってきて「ママ、助けて」と言うのだと思う、と伝えました。しばらくすると、義母が「ママ、目が、目が、助けて」とウワ言を言ったので付添人はなるほどと納得したようです。

しかし、私としては少し話がうますぎるように思えるのです(笑)。義母は私の話し声が聞こえるのでしょうか。ま、それなら頭は正常に近いので、それでいいと思いますが。