ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

レビー小体型認知症 (2) 義母の場合

自分勝手: 義母は5、6年前からパーキンソン病患者のようにチョボッチョボッと歩き、歩幅が非常に狭くなっていました。またフォークを持つ手がブルブル震えるようになりました。自分の置かれている状態と周りの環境とを関連付けられず自分勝手になりがちで泣き喚くようになりました。この自分勝手な言動を、私は義母の性格の悪さだと勘違いしていました(苦笑)。相棒によると、昔から自己中心的な性格の母親であったらしいのですが、老いて伴侶が亡くなってから、それが益々顕著に現れてきたのはLDB症のためでしょう。

妄想: 義母の症状が酷くなったのは去年、心室細動のため入院し、ディフェブリレーターを胸に挿入する手術をしてからです。妄想が多くなり、手術した医師たちを疑って「不必要な手術をした」とか「反って具合が悪くなった」などと言い出しました。退院してからも泣き喚きが続き、腹筋脆弱のため自分で立つことが出来なくて数ヶ月間24時間付添いをつけました。義母は少し元気になると「付添い人が宝石を盗む」などと言い出し始めました。しかし、このころはまだ妄想だけで、幻視は起こらなかったようです。

パーキンソン症状: そして暫くは平和に近い(?)日々が続きましたが、今年、今度は心房細動を数回煩い、入院退院を繰り返しました。そして去る7月、とうとう転倒して腰骨を砕いてしまいました。この時、付添人がついていたのですが、義母は一人で歩行器を使って室内を歩いていて、付添人は別の部屋にいました。義母の転倒はパーキンソン症状のためチョボッチョボッと小幅で突っかかるような歩き方をするため歩行器を使っていても突っかかってバランスを崩し、倒れたものと思われます。LBD症の患者の転倒の仕方は「救いようがない」倒れ方をするそうです。支えようとすることが出来ないため、バッターンとまるで物が倒れるように転倒するので頭を強く打ち失命することも多々あるということです。義母の場合、歩行器をつかんで倒れたので頭でなく腰を打ったようです。

幻視の世界: この骨折による入院、病院から病院への移動、股関節手術、強い鎮痛剤、足の打ち傷の痛み、トイレを他人に任せること等々、次から次へと間断なくストレスに打ちのめされた義母は夢現(うつつ)を行き来し、幻視の世界へ行くことが多くなりました。

痛みに極端に敏感: ちょっと触られると「痛い痛い、ギャアーーギャアーー」と凄い声で喚くのは、LBD症患者が痛みに極端に敏感になってしまうためです。血圧を測ろうと腕に血圧計を巻いただけで「痛い、助けて!」と叫ぶほどです。まあ、その凄いことと言ったら、まるで殺されるような騒ぎです。

強い鎮痛剤、鎮静剤に悪反応: ストレスに次ぐストレスはまだ続きました。リハビリセンターに移ってから尿道炎症を起こし、先週火曜日にまた病院へ入院。炎症で身体全体が痛く、だるかったようです。入院中、炎症が治っても義母は酷く痛がり喚き散らすので、病院側で複数の鎮痛剤や鎮静剤を投与しました。そのため強い副作用を起こし、激しい躁鬱状態で精神撹乱が起こりました。誰も居ないのに、そこに人が見えるらしく(幻視)、その人を指差して「彼女はねえ、ハハハ」などとやりだすのです。死んだ人たち、両親や姉たちや従兄弟などが見えることもあります。

LBD症状治療法: はっきり言って、治療法はないようです。ただ次の薬剤で症状を緩和させることは出来るらしいです。

コリンエステラーゼ阻害剤(anticholinesterases)
コリンエステラーゼの活性を阻害し神経末端のアセチルコリンの濃度を上昇させることで副交感神経を興奮させる薬剤の一種。ドネペジル (donepezil) はアルツハイマー型認知症進行抑制剤の一種で、アリセプト(Aricept)という商品名で発売されているドネペジル塩酸塩は、痴呆症を進行させずにLBD症を緩和させる効果があるそうです。