ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

情動変動

「良い思い出もたくさんあるから感謝しなきゃ...」と義母が言った時、相棒も私も耳を疑いました。驚きで言葉がありませんでした。義母が肯定的なことを言うのは皆無に近いのです。今まで「嫌なことばかりだ」とか「何で自分だけが不幸な目にあうのだ」みたいなことしか言わなかった義母です。

きょう義母を見舞いに行ったら、すっかり良いお婆さんになっているのです。まったく別人のようです。落ち着いて、泣き言も文句も言わず、笑みさえ浮かべて看護婦や介護人に人懐こい言葉をかける義母。レビーの特徴、症状の変動、情動変動が顕著に現れています。

フロアの看護婦さんは感じが良くなっていて、義母に夜アリセプトを5mg与えていることを確認してくれました。ただのレビーの情動変動なのかも知れませんが、アリセプトが効果をあげているように思えてなりません。

きのう、義母が食べ物の名前をあのように並べ立てたのは、やぶ医者が食欲促進剤を飲ませたからだとあとで分かりました。きょうの義母は食欲がありません。でも、買ってきたサラミの小さな切り身をなんとか2枚食べました。きのう、あんなにサラミが食べたいと言ったこと、憶えていたのかも知れません。

義母は気分が良いのか、自分の娘時代のこと、大好きだった母親のこと、仲良しだった3人の姉たちのことなど、楽しい思い出をトクトクと話しました。嫌いな人の悪口はまったく出てきません。薬が性格を変える! ただし、痴呆症の場合、アリセプトが効果を上げる期間は2年ぐらいだということです。

何しろ、このレビー小体型痴呆症の情動変動には今のところ驚かされることばかりです。あすの義母はどうなっているのでしょうか。