ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

自分でも不可解な怒り(2)

係が持ってきた処方箋薬の袋を調べた私が「いままで保険でカバーしてた錠数より少なく入っている」と問い詰めると「保険ではそれしかカバーしない」と言い張るのです。仕方が無いので「保険でカバーしない分も欲しい」と言うと、聞こえない振りして勘定を終わらせようとするのです。支払いをしながら「保険でカバーしない分のこと聞こえたの?」ときつく言うと、そんなら向こうで待っとれと言って、そそくさと次の客の応対を始めました。

待つところに血圧計があったので計ってみたら、な、な、なんと142/92でした。ビックリ! いままで高い時でも120を上がったことがない私です。憤慨した時に血圧が上がるってホントなんですねぇ。相棒に電話して「まるでゴミ扱い。長く待ってる人に先に応対すべき。今血圧が142になてる」と不満をぶつけました。そのあとまた血圧を測ったら129に下がっていました。怒(いか)ってはいかん。しかし、怒ってしまたらすぐ誰かに聞いてもらって気を落ち着かせることが大事だと分かりました。

係は後から来た5、6人の客の世話をしていて私のことなど放っている態度なので、いつもならジッと静かに待っている私ですが、怒った私は別人のようにハニカミなどなくなり、横のカウンターから奥にいる薬剤師に向かって「私の処方箋は出来ていますかぁ?」と大声で訊きました。「そっちにいる係に聞いて下さい」という薬剤師に「彼女は私を無視してるんですよ」と言ったモンです。それを聞いた係の女性は「無視してません。世話してます」と言うんですから呆れました。

そして数分後、奥から、もう1人の若い薬剤師が顔を出して「奥様、ご主人から電話があったので、今回、処方箋の期間が切れている状況を説明しました。ご主人も了解されましたよ。こちらで医者と連絡を取りますから、きょうのところはこれでお引取りねがいます」と丁寧に言われたので、私もお辞儀して静かに帰ることにしました。相棒はあとで「保険が効かないなどと言わずに、処方箋期間が切れているとワイフに説明してくれれば問題なかったのに、と薬剤師に言ったら、カウンター係はよく分かってない人が多いので、と認めるような言い訳したよ」と言ってました。

小さな風船が薬局の店の床に落ちていて、そばを通った人がそっとそれを足でのけていきました。それが私の足元にきた時、まだ髪を引きちぎりたいほどイライラした気持が燻っていた私は、風船をダンッと踏んづけてバンッと凄い音を立てて潰しました。そばの人がビックリして肩をビクッとさせるほどでした。私は「この怒りはなんだろう」と自分でも分からない気持になりました。いつもなら、風船を踏みつけるような人を批判の目でみる私です。まるで義母のヒガミ根性の怒りが私に乗り移ったような気がしてきました。こりゃあ、いけねぇ。