ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

優雅な小さい鼻

相棒は私の鼻に執着して、いつも冗談を言います。西洋人にはアジア女性の小さくて低い鼻がチャーミングに見えるらしいです。確かに子供と同じ様で、良く言えばチャーミング、悪く言えば幼稚なんでしょう。

私の鼻、高校の保健検査で保健婦さんが『鼻中隔形体異常』と大袈裟な診断を書き込んでいました。「どういうことですか?」と訊いたら「鼻腔がちょっと曲がってる。大したことないから気にしなくていい」とつっけんどんに言われました。昔、母から「鼻の悪そうな鼻してる」と貶(けな)された鼻ですが、私は自分では「悪そうな鼻」には見えなかったので気にせずにいました。近年になって母に私の鼻のことを訊ねたら、やはり「鼻の悪そうな鼻」であることに変わりがないようなこと言われました。どういう鼻が「悪そうな鼻」なのか母は言いません。

相棒にそのことを言うと「変なことをいうお母さんだね。君の鼻はパーフェクトだ」と澄まして言います。最初はイチイチまともに否定していた私ですが、だんだん冗談の要領が分かってきて「んだ、パーフェクトだ」と当たり前のように認めて澄ましていることにしました。考えるに、相棒は私の顔で褒めるところが他にないため、無難なところで鼻を持ち出しているんだろうと思います。夫婦愛(笑)。

さて、鼻に執着する相棒が妙なイラストをEメールで送ってきました。最初なんだろうと思ったのですが、イタリアの風刺本の表紙絵らしく、大きな赤い鼻がイタリア鼻、小さな平たいのは何とフランス鼻なんだそうです。まるで赤いボタンみたいなものを a graceful little French nose(優雅な小さいフランスの鼻)と表現しているのが可笑しいです。

私が「フランス人の鼻はペッタンコと思われているとは知らなかった」と言ったら相棒は「そうです。ある種の男性の間ではペッタンコと思われているんです」と冗談なのかホントなのか分からないことを言って、フランスの女優Genevieve Bujoldという人の写真を貼り付けてきました。なるほど上向きのボタン鼻、これが「優雅な小さい鼻」なんすかねぇ?