寂しさの足掻き

PT(フィジカルセラピ)に行った時のことです。待合室で待っている間、可笑しいような切ないような虚しいような複雑な気持になる光景を見てしまいました。
この病院のPTを受ける人たちは、乱暴な表現ですが「身体にガタが来た年寄り」が多いです(私もガタが始まりました)。子供や孫と離れて暮らしている寂しい毎日の老人たち、という感じの人を見受けます。
ホールを歩いているセラピストと老婆の会話が聞こえてきました。若い女性のセラピストが「私には祖母は居ません」と言う返事をしていました。それを聞いた患者のお婆さんが急に声をあげて「それなら私があなたのお婆ちゃんになってあげる」「今度一緒に買物に行きましょう」「それから食事をしましょうよ。私が払うわよ」っと、もうすっかりその気になって喋り続けるお婆さん。最初は「その必要はないです」と遠まわしに断っていたセラピストでしたが、お婆さんが押し続けるので、とうとう「職業上、患者さんとは距離を置くようにしています」と事務的に断っていました。そのあとのお婆さんの声は低かったので聞き取れませんでした。
相手の気持を考えず猛突進する老婆の態度がコメディのようで可笑しくなりかかったのですが、ふと、私が若かりし頃、寂しさからこのお婆さんと似たような気持になったことがあると思い起こしました。そして故義母もこのお婆さんと全く同じような状態になったことも思い出しました。極度に寂しい時期を過ごす人間が陥る足掻(あが)きのようなもので、自分が見えなかった私自身の虚しい姿を反省させられるシーンでした。