奥村土牛

YouTubeを見ていたら『奥村土牛 最後の富士』というビデオにぶつかりました。百歳で尚、絵を描く土牛画伯に呆然と見入ってしまいました。後で調べると土牛は1990年に亡くなっており、このビデオが27年も前のものであると分かりました。探索したわけでもないのにこのビデオが出てきたというのは何か意味があるのかしらん。
私が土牛の絵を初めて見たのは50年近く前。絵は「大和路」。外壁の色にハッとして暫し呆然としたのを憶えています。私がどんなに未熟者であるかと思い知らされる色でした。枯れた色。色々な顔料を混ぜて出来上がった複雑な色がややもすれば一色に見える。
   
今改めてウェブでその絵を見て茅葺屋根も同じ色であること私の記憶から抜けていることが分かりました。壁の色だけ深く印象に残っているのです。私の記憶の中ではもっとボーっと薄い色合いだったような気がしますが、多分、巨匠の手による何気ないような上塗りの白に魅入ってしまっためでしょう。あの印象は本物、実物を見た時のものです。記憶では三越での土牛展だったと思います。
それにしても巨匠と言われる画家の絵のオリジナルは人の心を突き動かすものがありますね。私の場合は時が止まってしまうような感動を覚えることが多いです。
土牛の傑作に「鳴門」「醍醐」など、ウワァーと叫びたくなる凄い作品があること後から知りました。しかし、私にとっては、若い頃にみた素朴な「大和路」から受けた衝撃というか感動というか、「あの色」が画伯と結びつくのです。