ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

映画The CaptainのQ&A

下欄の映画 The Captain を見た後、監督が出てきてQ&Aをしました。作品の中には勿論創作部分が多々あると思っていました。ところが、まさか実際にあったとは思えないような場面が、実はしっかり書面に残されていたものだったと言うのです。その場面とは、キャプテンになりすまし数百人を殺害した兵士に対するドイツ軍部の審判内容です。あまりの非情さに、これは面白さを誘う創作であろうと私は思ったのですが、監督は「審判における発言は記録されており、あの場面はそれを基にしたものです」と言ったのです。あの頃のナチスは人間の心を失っていたとしか思えませんでした [発言内容はネタバレになるのでここには書きません]。

さて、観客の一人が質問のような振りをしてダラダラとパレスチナ住民やイスラム教徒を擁護する意見をキンキンした声で言い始めました。要は「ナチスの非情さ異常さを描きたかったとのことだが、パレスチナ人、イスラム教徒に対する攻撃の非情さを描きたいと思わないのか?」という内容です。

映画館はチェルシーとグリニッジビレッジの辺りにあり、この辺りはレフティストだらけであることは承知していたので、こんな意見が出ても仕方ないと思いました。ところが、そのキンキン文句を述べている人に対して、別の重みのある声で「あんたはテロリストの味方をするのか!」と反論する人がいたのです。ビックリ。ここにそんな意見をする人がいたとはチョット驚きでした。そして凄い論争が始まりそうになったのですが、頭の切れる監督がマァマァと宥(なだ)め「そういう個々の問題に対してではなく、一般論として基本的な人間の非情を描きたいと思ってます」と治めてくれました。