ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

Snow Moon 再び

昨夜に続いて今夜も満月が煌々としていました。

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遅い時間に映画を観て、出てきたら午前12時を廻っていました。

ミッドタウンの西でバスを待つ間に夜空を見上げたら大きくて見事な満月がありました。

今夜は晴れていて雲が1つもなく、虹の輪が見えることはありませんでした。

今まで携帯のカメラで撮ると肉眼で見るよりずっと小さく写るので何とか大きくならないものかと携帯を睨んでいたら被写体に焦点を当てる機能が付いていることに気が付きました。

そして丸い輪の焦点を月に当ててクリックしてからシャッターを切ったら、輪郭がハッキリして少し大きな月が撮れました。

 それでも月のウサギの影を写すとまではできませんで、ただの大きな丸い光が写り込んでいるのが、お笑い種(グサ)でございました。

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Snow Moon と虹の輪

食事の帰り、マンハッタンの夜空に満月が煌々とあり、あまりに大きくて明かるいので相棒の携帯で撮ってもらいました。

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とても大きな月なのに写真に撮ると小さく写ります。

2月の満月は Snow Moonと呼ばれるそうです。今夜から二夜見られるとか。

月を見ながら追いかけるように歩いていたら、雲をバックに虹の輪が見られました。

一種のMoonbowです。

今日の昼間は暖かく、夜になってかなり冷えてきたので上空に水滴ができたようです。それに月の光が反射しているのだとか。

義を見てせざるは勇無きなり

今朝、食器を洗いながらふと数年前亡くなった隣の部屋の老人を思い出しました。どういう思考の経過でその老人のことを思い出したのかは思い出せません。

元気だった頃の老人は腰を90度近く曲げながらもしっかり歩いていました。そしてエレベーターで一緒になり、ロビーで降りる時、老人の降りるのを待っている私に老人は手を前に差し伸べて「お先にどうぞ」とレィディズファーストを忘れません。「老いてもヨボヨボ爺ではないぞ」という自負が感じられました。その内、老人は歩行器を使って歩くようになり、そしてとうとう外で姿を見ることがなくなりました。隣の部屋に看護婦さんのような人が出入りしているのを見るようになりました。

暫くすると隣の部屋と繋がる私たちの寝室の壁から老人の声が聞こえるようになりました。看護婦さんに「やめろ、やめろ、あっちへ行け」と言っているようでした。最初は老人のわがままで看護婦さんを困らせているのかと思いました。その内「ヘルプ!へェルプ!」と叫ぶようになりました。看護婦さんが何か言っているようでしたが、老人は「お前なんか嫌いだ、出ていけ」と言っていました。それからヘルプと叫ぶのが何日も続きました。私は心配になっていました。もしかしたら看護婦さんが老人を手荒く扱っているのではないだろうか、と疑ってしまったりもしました。そして老人が隣人の私たちに助けを求めているのではないかと思ったのです。ただ、老人には自分の子供(中年の娘)がいるようで、その人が介護の手続きなど世話をしているはすで、私たち他人が口出ししてはいけないような気がしました。そして心配しながらも黙っていました。

そしてその数カ月後老人は亡くなりました。私はひどく罪の意識を感じました。あの時、老人の部屋をノックして、看護婦に老人の苦しみが隣に聞こえているということを分からせるべきだったかも知れないと思ったりしました。それで少しは老人が楽になったかも知れないのにそれをしなかった私。義を見てせざるは勇無きなり。時々、ふとその老人のことを思い出すのは私の老いた正義がそうさせるのでしょうか。

State of the Union 2020 老獪ペロシ、大統領職位を侮辱

ここではスピーチの内容は端折り、大統領と下院議長の葛藤だけ書きました。

ナンシーペロシ下院議長(80歳)は30年以上も下院議員をしているためかその職権乱用と堕落した政治活動には目に余るものがあります。政府要人用飛行機や軍用機を私物化、まるでタクシーの様に使いまくり、地位を利用して私腹を肥やし続けています。彼女の代表するカリフォルニア州政府の堕落は最近目に見えて明らか。特にサンフランシスコの退廃は私も心痛めるところです。

トランプがカリフォルニア地区是正のため地区の判事を任命した途端、弾劾はしないと言明していたペロシは手の平返したように弾劾裁判を決行しました。彼女、自分のしている諸悪が表面化するのを阻止するため必死です。弾劾裁判のために裏で集められた「証人」は皆、直接見聞きした人ではなく「又聞き」または「推察」による意見を述べるだけ。正式な「証人」「証言」とはならない連中ばかりで無理を通して道理引っ込めた裁判を進め、税金の無駄遣いをしている彼女、長年の職権乱用で神経が麻痺し税金は自分の金だと勘違いしています。

さて、昨夜の年頭教書演説、大統領がスピーチの原稿を渡した後、下院議長とも握手をするのが形式となっていましたが、現在進行形で自分を弾劾している張本人と、例え表面上であってもトランプは握手できない心境だったようです。自分を弾劾することに躍起になっている下院議長を後ろに控え、そいつが後ろから自分を睨みつけているだろう檀上でこれからスピーチするには余程肝を据えていなければなりません。

この握手のフェイントに(弾劾進行張本人であるにも関わらず)なぜか憤慨したとみえるペロシさん、大統領紹介のアナウンスでは形式となっている赤字の部分(大変な栄誉と名誉を以って紹介)を抜かしてトランプに敵対心丸出し。

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"Members of Congress, I have the high privilege and the distinct honor of presenting to you the president of the United States."

白粉ギラギラ、マスカラで充血した目、時々入歯を舌で動かしているのが赤く塗った唇の歪みで分かります。目を引きつらせてそっぽ向き、やたら唇を歪ませたシワだらけの顔は、昔はミスコン、今はタクワン、なんて冗談が出てきそう。

ダメだしは Rush Limbaugh氏の授章でしょう。Limbaugh氏はペロシの大嫌いな保守派ラジオトークショーのホスト。その彼に市民として最高のメダルをトランプが授与。カメラに映りませんでしたがペロシさんの顔がさらに歪んだのではないかと思います。

30年前からLimbaughを聴いていた私はチト貰い泣き。というのもLimbaugh氏は数日前に肺癌と診断されたことを表明、先が不安な状態なのです。

スピーチが終わるとペロシはスピーチの原稿をこれ見よがしにカメラの前でビリビリと破きました。公の場の、それも連邦政府の行事でこんなことをするのは「米国大統領の職位を侮辱」していることになります。プロ意識がなくなった老婆が自分はヒステリーバアさんであることを公の場で表明したようなものです。

グラウンドホッグデイ

偏頭痛でチト苦しんでいる間に2月に入ってました。
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年が明けたと思ったら、もう昨日日曜日はグラウンドホッグデイ。

あまりにも早すぎる時の流れに、私はまるで時空をスーッと移動しているような気になりました。

今年は元祖ペンシルバニア州パンクサトーニのフィル君もNY市スタッテン島のチャック君も影を見なかったので「春は早く来る」という予想でした。

グラウンドホッグデイは日本の啓蟄とよく似てます。啓蟄は明日、日本の今日ですね。

最近はこのお祭りも特に話題にならなくなってます。

デジタル化の落とし穴

ここ数週間、相棒の血圧が異常に高くなっていて、私はパニックになり、即、掛かりつけの心臓専門医に行くよう相棒に勧めました。しかしその医者は冬のバケーションで予約が取れず、取り敢えず手術をしてもらったことのある心臓外科医に診てもらいました。そこで測定した血圧も普段より高かったため、処方箋薬を替えてもらって様子をみることにしました。それでもずっと血圧を測るたびに高いままでした。そして掛かりつけの医者が戻ってきた今日、予約を取り付けて、やっと診てもらうことが出来ました。

相棒から診察の後連絡があり、専門医が計った血圧は正常だったというのです。30ポイントも差があるのです。医者によると「家庭で使っているデジタル血圧計は電流の関係でセンサーがずれてしまうことがある」ということです。その医者はそれに気が付いてからデジタルは止めてマニュアルの血圧計に替えたといいます(前述の外科医はまだデジタルを使用していたようです)。経験のある医者のマニュアル(手の感覚)による計り方の方がオートマチックなデジタルより信頼できると納得しました。

家庭で安易に使用できる医療器具に翻弄された私たちですが、安心するとともに何でもデジタル化された家庭の器具の信頼性について考えさせられました。

古いものを使っている私たちでさえ、テレビ、電話、掃除機、体重計、血圧計、体温計などがデジタルになっていますので、若い人たちの家庭ではもっと色々なものがデジタル化されているものと思います。最近は錠や鍵などもデジタル化しています。そのセンサーがずれてきたらどうなるのでしょう。

この心臓専門医のように知識と経験が豊富な場合、そのずれに気付き、適切に対処することが出来ますが、知識のない人たちはデジタルの数値を信じて不適切な方向に行ってしまうのではないかと思います。

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それで思い出したのが車のGPSです。

ある時、バージニア州の町を走っていて予約していたホテルに行くためGPSを稼働させました。しばらくして、GPSが女性の声で「そこを左へ曲がりなさい」と言うのです。そこは左折禁止の逆一方通行でした。私はそれを知らず「そこを左へ行くって!」と素通りしようとする相棒に叫んでしまいました。相棒は「行けないんだよ」と言ってそのまま進んで行くと、GPSからスッ呆けたように落ち着いた声で「リカリュクレイティング(やり直します)」と聞こえてきたので、二人で笑ってしまいました。GPSの声の通りに進んで谷に落っこちそうになったなんて話も聞いたような気がします。デジタル化も過ぎると危ないです。

修復された名画

美術品の修復とは忠実にオリジナルを復元するものだと思っていました。

あるニュースサイトをみていたら『Hubert と Jan van Eyck 作 15世紀の傑作 the "Ghent Altarpiece" の復元結果に驚く』という記事が目に付きました。

最近、復元作業が最終段階に入ったということで、その進捗状況が披露されたそうですが、その祭壇に載っている羊の顔が「復元」ではなく「修正」のようになっていたので見た人は驚いたそうです。

修復にあたった人によると古くなった絵の具を除いたら元の羊の顔がこうなっていたと言うことです。ということは前にも修復(修正?)が行われていたということになります。オリジナルの羊の顔があまりにも酷いのでその当時修復する人が堪らず修正してしまったのかも知れません。

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 左が前に修正されていた顔

 右が絵の具を除いたら出てきたと言われる顔

(ちと気持悪い)

 

 

 それで思い出したのが笑い話のような本当の話。

2012年、スペインの Borja という村の小さな教会 Sanctuary of Mercy に 1930年Elías García Martínez 作の “Ecce Homo” (“Behold the Man”) と題する壁画がありました。古くなって絵の具がボロボロはげ落ちてきているのをみたその教会の信者の Cecilia Giménez さんはその壁画を修復してあげようと思ったそうです。その結果がコレ。

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セシリアさんは親切な気持から修正をしたようなので、教会の人々も怒ることが出来なかったようです。皮肉なことに、このメチャメチャに修復?された名画?迷画?を一目みようと、この小さな町の教会は観光客でにぎわうようになったのだそうです。