ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

救急室の義母

最近、義母の老いに加速度が加わり、種々問題が頻繁に起きるようになりました。

昨日朝、リハビリセンターから「急遽、義母を病院に運んだ」という電話が入りました。義母は数日前から、午後になると朦朧として訳の分からないことを口走るようになっていたのですが、昨日は朝から朦朧としていたので病院行きとなったらしいです。

救急室に運ばれた義母は看護婦がちょっと触っただけで悲鳴をあげ「ワーッ、痛い、触るな!あっちへ行け!」注射をすると「ギィヤアア!痛い!助けてえ!」と、まるで看護婦が痛めつけているような人聞きの悪い喚き声をあげるのです。困ったのは、義母の腕の静脈が見つけ難いことです。採血や点滴のため何度も針を刺されて義母はその度喚き声を上げます。看護婦さんが二人試しましたが静脈は見つからず、ダメ。採血専門の女性が来ましたがダメ。インターンの医師がきて電波探知機で静脈を探しあてましたが、針が届かずダメ。

最後に、採血に焦った医師が手首に針を刺した途端、義母はギャアアッと叫び始めました。慌てた私は義母の頭をさすって気持を落ち着かせようとしました。子供をあやすように髪をなで上げ続けたら、義母は「ママ、ママ」と言いながら静かになって眠り始めましたので、その隙に医師が必要な採血を済ませました。相棒は私が頭をさすったら義母が静かになったのでビックリして「神の手だね」などと冗談を言いました。義母は神経が高ぶっていて実際にはそれほど痛くないのに悲鳴を上げていたのだと思います。

そのあと看護婦さんは義母の悲鳴にめげず尿の世話をしてくれました。それで尿道が炎症していることが判明、すぐ抗生物質を義母に与えてくれました。暫くして義母は少し静かになりました。きっと炎症がおさまったので気分が良くなったのでしょう。

それから少し分別を取り戻した義母は、優しい若い医師が来ていろいろ質問すると冗談交じりに応答していました。それまで、あっちが痛い、こっちが痛いと喚いていた義母ですが、その医師が「どこか痛いところはありますか?」と訊くと「別にないよ」などと応えているので、相棒と私は顔を見合わせてしまいました。義母は尿道の炎症が痛かったのでしょう。老いて、どこが痛いとはっきり分からないので、あっちこっち痛いようなことを言っていたのだと思います。

CATスキャンで、義母の脳が膨らんでいるという結果がでました。老化現象であって、癌ではないだろうということでした。義母の失禁は脳の膨張のせいかも知れません。