ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

病室の義母

今朝、義母は救急室から病室に移されました。昨日と打って変わって大変落ち着いています。目付きが優しくなっているのです。こんなに優しい義母の目をみたことがありません。

若くて綺麗なアジア人の看護婦、べバリーさんがやって来て「私の名前を憶えていますか?」と訊かれた義母は「べバリー」と応えたのです。私はビックリ。リハビリセンターでは、私の名前も覚束なかった義母なのです。綺麗で優しいべバリーさんが気に入った義母は、彼女の名前を必死に覚えたのでしょう。

そのあと、別の看護婦さんが「患者さんは食べたくないと言ってますが、家族が勧めれば食べるでしょうから、そうして下さい」と言って昼食を置いて出て行ってしまいました。「食べたくない」と言ってるんだから食べないだろうと思いながら、私が義母にスープを少しずつ飲ませたら、余程お腹が空いていたのか、義母はゆっくりでしたがスープを全部飲みました。野菜ラザーニャも少し食べ、紅茶もコップ一杯、ストローで飲みました。

夕食も、やはりスープだけば全部飲みました。呑み込むのに努力がいるので、少しずつ少しずつ、一度20分ぐらい休んで、またスープが飲みたいと言うのです。そして全部飲んでくれました。固形物のチキンとポテトはホンの一口か二口しか食べられませんでしたが、それでも一所懸命、口をモグモグさせていました。

「歯はな...下は入れ歯なんだ」「上は自分の歯なんだ」「下が入れ歯で上が自分の歯なので噛み合わないんだ」と正常なことを言う義母に、一瞬、脳の膨れが治ったのか、と思う私でした。噛み合わないから食べ辛いんだと分かりました。

また、若くて綺麗なべバリーさんが、大きな GetWell の風船を1つ持ってやって来ました。「これはナースセンターからのギフトです」と言って風船を義母のベッドに付けてくれました。そしてまた「私の名前、憶えてる?」と義母に訊くと、義母は「ベ、ベ、ベバリ」と少しドモリましたけど、ちゃんと憶えていました。義母の目付きが優しくなったのは、ベバリーさんのお陰でしょう。

義母の右足のカカトに傷ができていて、そこが化膿している可能性があるのです。シャレじゃなく(笑)。そこが非常に痛いらしく、看護婦さんにクッション付の足カバーを巻き付けてもらったら、傷が押されて、よけい痛くなってしまったようなのです。痛い痛いと言うので、私がカカトを浮かせるように下に詰め物をしてからカバーを少し緩めてあげたら、少しよくなったようです。痛みがおさまったのか、義母はウトウトしだしましたので、相棒と私はそこを出ることにしました。別れ際に、義母は私の手を取って「ありがと、ホントだよ、ありがと」と言うのです。義母らしくなく、なんか胸がつまってきてしまいました。でも、いい人になったり、ワガママになったりする義母なので、油断は出来ません(笑)。