ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

DNR (Do not Resuscitate)

ハーレハレ!もう10月になってしまった。私の頭は、まだ1999年あたりに留まっていて、今年が2011年であることに気が付くと「ハタ、もう2000年から11年経ってるのか…」と驚いたりしています。

義母は相変わらずですが、今度は味覚に支障を起こし、なんにでも塩をボカボカかけるようになりました。この間は、私が目を離している隙に、大きなカップに入って柔らかくなっているマーガリンを全部食べてしまいました。アイスクリームと間違えたのでしょうか。オッカサンよ、情けないのう...。

きのうもバターをカップからスプーンで食べようとしているので、慌ててバターを退けました。相棒が「バターをそのまま食べてはダメだよ。パンやクラッカーに付けてたべなさい」と言うと「そんなこたあ、分かってるよ。パンに付けてるよ」と言いながら義母はスプーンですくっていたのです。

係りの看護婦さんが「彼女は、あまりにも塩をかけ過ぎるので血圧が急上昇しています。塩でなく塩の代替を持って来て下さい」と私に訴えました。この看護婦さん、この前は「(義母が)何度も塩を要求するので、塩のシェイカーを持って来て下さい」と言った人。それで塩のシェイカーを持っていったら、そのシェイカーは2日目に紛失していました。それで義母はまた「塩、塩、シェイカーはどうした?」と騒いでいるので、また別のシェイカーを持っていったら、今度は塩はダメで塩の代替でなければならなくなりました。オッカサンのやることを調整していたら際限がないです。

認知症の世話の難しさの1つは、どこまで患者の要求を聞き入れてあげるか、です。相棒も私も、どうせもう長くない義母の命だから、好きなものを食べさせてあげればいい、と思うのです。しかし、施設側としては、義母のDNR(延命処置否定)書類にサインすれば、何を食べさせても構わないが、サインしないなら患者のリスクになるようなものは食べさせるな、というところでしょう。

施設側はいつもDNRにサインして下さいと言います。しかし、このDNRは曲者(くせもの)です。サインをしたら、施設側は患者をいい加減に扱うようになるのです。どうせ「死んでもいい患者」、死んでも責任負わずに済む患者ということです。義母は長くないとは言え、あと数年は生きるかも知れないのです。生きてる間は、たとえ認知症でも、あまりいい加減に扱うのは人道的でありません。