ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

白っぽい蛾

故父とは疎遠だった私ですが、今回の旅行でも父が着ていたウィンドブレーカーを持って行きました。ウィンドブレーカーは薄くて軽くて保温性があって旅にはとても便利なのです。

朝、宿の周りを散歩して戻って来た時、部屋のすぐ前のロビーに通じるドアを指さして相棒が「これも蛾?」と私に訊くのです。なぜか相棒は蝶と蛾の区別がつかないようです(笑)。相棒の指差す方を見るとクリーム色にオレンジ色の太い一線が入った蛾が止まっていました。「そう、それも蛾よ」と答えてから、私はアッと思いました。

2年前、父の葬式の時、ヒラヒラ飛んできて、お経を読むお坊さんの直ぐ横の畳みの上に止まって静かにお経を聴いていたのもやはり白っぽい蛾でした。私がウィンドブレーカーを持ってきたので、父も一緒にやって来たのかな?

着いた日も翌日も翌々日もそのまた翌日も、その蛾はドアに止まったままでした。帰る日の朝、ドアをみたらもういませんでした。父も私たちと一緒に滞在を楽しんだのかも知れないと思いました。5月27日の日曜日はユダヤの祭日で、その夜は相棒の両親のためにキャンドルを二つ灯し、冥福を祈りました。相棒と私の親も一緒のメモリアルデーらしい休日となりました。