ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

鳩のつがい

私は都会の鳩が嫌いでした。やたらと数が多く、群れをなして餌をつつき、大量の糞で銅像や建物を汚し、乾いた糞が風に舞えば人の鼻から喉に入って病気になりそうです。それに坊主憎けりゃ袈裟まで...で、首が先に前に出る歩き方も妙に人馬鹿にしているような気がしていたのです。

さて、一昨日、日が落ちたころに映画館の横を通りかかった時、道路の脇に鳩が一羽チョコチョコ小さな円を描くようにその場をうろついていました。ちょっと普通と様子が違います。暗がりで分からなかったのですが、よく見るとその傍にもう一羽鳩がいてうつ伏せになっていました。車に轢かれたようです。鳩のツガイの一羽が死んでしまって、もう一羽はその場を離れずオロオロしているのです。そのおろつく様子が人間と同じで、いつまでも離れずにいる鳩に私はもう胸が詰まってしまいました。ハッと思い起こしたのは、鳩は生涯同じ相手とカップルで過ごすということ。確かめてみると、やはりそうでした。「フライング ラット」などと呼んで嫌っていた鳩ですが、最愛の相手をなくしてオロオロ悲しむあの様子をみたらもう、そんな気持にならなくなりました。