ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

夏の旅 バーモント州 (5) 良い巡り逢いの旅

湯沸かしポットの偶然

私たちが明日帰るという日、夕食から戻ると宿主のリチャードさんがいそいそと迎えてくれて、興奮しながら興味ある話を始めました。

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実はその日の朝、宿主の夫婦が「昨夜、湯沸かしポットが壊れてしまったんです。お茶を飲む時は、お湯をガスで沸かすから時間がかかります。ごめんなさい」と言っていたのです。

そのあと、その日チェックインした宿泊客のご夫婦にもリチャードさんは湯沸かしポットが壊れたことを説明したのだそうです。するとその客の奥様の方が「私、リチャードさんにギフトがあります」といって、車に戻って何かを持ってきたそうです。

そして彼女が持ってきたもの、それは同じ型の湯沸かしポットだったそうです。リチャードさんは口あんぐり。その奥様の言うには「先日、職を変えた時、事務所に置いておいたポットを持ち帰るため車に入れて置いた。でも新しい職場ではポットを使う場所がなく、仕方なくポットは車に入れたままで、その内サルベーションアーミーにでも寄付しようと思っていた」のだそうです。そしてリチャードさんの話を聞いて「ちょうどいい、使ってもらえる」と思ったのだそうです。リチャードさんによるとポットは全く同じ型なのだそうです。

私にとって、これは偶然で済ませられる話ではないデス。宿の湯沸かしポットが壊れたら、たまたまそれと同じものを持っている人が宿泊客としてやってきた...

日本で「赤い糸」とか表現しますが、そういうモノがあるとしか思えません。良い心を持った人には良い巡り合わせがあるのだと思わざるを得ませんでした。

この宿泊客のご夫婦とはその夜、お茶を飲みながら少し話し、翌朝も一緒に朝食をしながら話をしましたが、とてもステキなカップルでした。ペンシルバニアに住んでいるのだとか。奥様は米軍の書記?だったかな、忘れましたが何か軍の職についていてドイツに駐留していたこともあり、ネパールのカトマンズまで出かけた事もあると話してくれました。ご主人の方は静かで口数が少ないけれど、一所懸命話そうとしている様子がうかがえました。私たちもぎごちなくて初めての人たちとはなかなか話ができないのですが、このご夫婦とは自然と打ち解け、話が弾みました。心が安らぐ、とてもいい巡り逢いの旅になりました。