ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

1月終わりから2月初めに観た映画

To Dust

f:id:nykanjin:20190213033121j:plain

妻を癌で亡くしたばかりのユダヤ教ハシデック派の男が「自分の足の親指が破裂する」夢を何度もみます。

男は妻の霊が地中で腐敗する自身の身体に苦しんでいるのだと思い込みます。そして死体の腐敗のプロセスについて、お人好しの大学の教授を巻き込んで、実験を始めます。妻の霊が安らかにいくことを願う滑稽な男のお粗末なブラックコメディ。

 

Arctic

f:id:nykanjin:20190213033535p:plain

北極近くで墜落して生き残った男が、壊れた飛行機の中で寒さを凌ぎ、釣った魚で食い繋ぎ、何とか救助されることを期待して何日も過ごす中、やっとヘリコプターが一機飛んできた、と思ったら吹雪でそのヘリも目の前で墜落する。

この手の困難克服話はTVの実際体験シリーズでもよくあるので特に感動はしませんでした。週末の暇つぶし映画。ロケ先はアイスランドだそうです。相棒が雪の間から覗く黒い火山岩を見てソレを言い当てました。

 

Cold Pursuit

f:id:nykanjin:20190213033820j:plain

ノルウェー作品 In Order of Disappearance (2014) の 英語版リメイク。息子の敵討ちをする父親の話。これはもうリアムニーセンに演じてもらうしかありません。オリジナル作品と殆ど同じ内容の米国編といったところ。

「こんなこと実際にあるわけないでしょ」というスタンスで、シリアスでなく冗談半分に作られているのも好ましいです。悪人がどんどん殺られていくのも胸がスッとします。

週末にピッタリの娯楽作品。

 

 

 

They Shall Not Grow Old

f:id:nykanjin:20190213034026j:plain

ドキュメンタリー。第一次世界大戦中の英国陸軍兵士たちの実写をデジタルで見易く修復し、さらにカラーにした作品。

少し繰り返しが気になりますが、前線における現実の過酷な状況を再認識させてくれます。何年も風呂に入れず一着の軍服のみ着続け、泥まみれのトレンチで戦う兵士たち。いつ弾丸や爆薬で死ぬかも知れない状況下にあって、足は水虫や凍傷で指がボロボロ、トイレは青空の下、食事もスープとパンがあればマシな方。それでも兵士たちはカメラに向かうと笑うのです。

フィルムに写った若い兵士たち、殆ど全員戦士したという説明で、この作品のタイトルの意味に胸が詰まる思いがします。

 

The Invisibles

f:id:nykanjin:20190213034658j:plain1943年、ナチスによる「ユダヤ人皆殺し令」のため、ベルリンに残っていたユダヤ人がことごとく捕まえられてガス室行きの列車に載せられたが、そのナチスの目をぬって終戦までベルリンで隠れ通し、約1700人のユダヤ人が生き残ったということです。

この作品は、その生き残りの内の4人の話をセミドキュメンタリーにしたもの。ドイツ人の娘を治療したユダヤ人の医者の家族が、その娘の両親に匿われたり、ナチスの言われなき残虐さにユダヤ人を救おうとする正義感の強いドイツ人たちがいてユダヤ人を匿ったことなど、この作品ではユダヤ人を助けたドイツ人もいたということについて伝えようとしたようです。

私が繰り返して疑問に思うことがこの作品でも投げかけられているのが印象的でした。「なぜユダヤ人撲滅なのか?皆殺しなのか?」このような行動に出る思考構造が、どうしても理解できないでいます