ドイツ北部の旅(4)Lübeck ② 不思議な体験

ルーベックの4人の殉教者 (Lübeck martyrs at The Lutherkirche)

静かな住宅地を通り、昔精神病院で今は警察署という小窓の多い建物を過ぎた頃、急に私の右腕の肘の内側の一点が熱くなってきました。「老いて血管でも縮んだか」と思いました。その後もポーッポーッと時々熱くなるので、ちょっと不安になった私は相棒に「肘の一点が熱くなるんだけど」と話しました。「たぶん疲れだろう」と相棒は言ってくれました。いつもなら疲れだろうと納得するのですが、なにか腑に落ちない気分でした。

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そして、近くにルーター教会があることに気付きました。そこにはナチスを非難して人々に訴え説いて回り、ゲシュタポに処刑された4人の殉教者が葬られているということでした。ナチスはユダヤ人迫害だけでなく、ドイツ人でも精神薄弱であれば抹消していたこと(奇しくも私が今年2月に観た”Never Look Away”という映画のテーマでもあり、そのナチスの残虐さをブログに記しています)、殉教者たちはそのことについても公共の場で非難し訴えていたそうです。

私の肘のポーッと熱くなる珍現象はまだ続いていました。相棒は殉教者たちを表敬する気になりました。教会の扉は明かりもなく閉まっていて何となく入り難かったので躊躇していると、すぐ前の、ガイド本などが置いてある店の女性が「何か用ですか、質問どうぞ」みたいに店に招き入れてくれました。相棒が教会に入りたい旨を告げるとその女性は「教会は自由に入れます。とても興味深い展示ですよ」と推してくれました。

教会の中に入ると一般の祭壇があり、そこを横に通り抜けるとこじんまりした展示場に出ました。4人の殉教者の写真と説明の書かれたパネルが並んでいて、そこにいた係の男性が地下に埋葬場所があることを教えてくれました。階段を下りると少し上げ床になった丸く広い床があり、それを拝むようにイスが並べてありました。そこに立つと肘の熱さが一層感じられ、そして消えました。なんとなく「ここですよ」という意味だと理解しました。

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なぜか私はイスに座って埋葬された場所に向かって目を閉じて瞑想しようとしました。目を閉じると濃い紫色を背景に黒い線でアブストラクトのような模様が見えました。その模様を必死に記憶しようとしましたが、まるでランダムでどうにも覚えようがありません。意味も分かりません。ただ、その模様の雰囲気だけでも記憶しようと努力しました。いつか、もしかしたら死に際かも知れませんが、それが何であるか分かるのかも知れないと思いました。一度目を開けるとアブストラクトが消えるかも知れないと思って目を開けてから閉じてみましたが、また見えました。左の絵は私の憶えている限りの色と雰囲気のアブストラクトです。黒の線はまったく違うかも知れません。

しばらく瞑想してから展示場所へ上がり、4人の内の誰が私の肘を熱くしたのかと各パネルを読んでみました。勝手な想像ですが、優しい感じの  Eduard Müller神父ではないかと思いました。見学し終わって、Dankeschön (ありがとうございます) とお礼を言うと、係の男性が Bitte Schöne (どういたしまして)とにこやかに返してくれましたが、その声が Müller神父さんが言っているように思えてなりませんでした。

教会を出ると、もう熱い一点を感じることがなくなったので、やはり神父さんに招かれたのだと思わざるを得ませんでした。こんな不思議な体験をしましたが、少しも驚いた気持にならず、まるで自然なのです。そして「誰にも信じてもらえないだろう」とか「信じてもらいたい」とかいう気持も湧いて来ないのです。ただ自分が「もしかしたらスピリットとコンタクトできたのでは」という体験を備忘録として書き残しておこうと思いました。