2016年の年末、フランスのラスコー洞窟の壁画を見に行った時、トレモラ(Trémolat)というチャーミングな町のル・ヴュロジ(Le Vieux Logis) というこれまたチャーミングなホテルに宿をとりました。
その宿のオーナーは90歳になる Bernard Giraudelという人でした。私たちが結婚記念日の夕食をとっている時に自分のレストランにやって来たGioraudel氏は客たちに挨拶していました。90歳とはとても思えない元気さで友人と一緒に赤ワインを楽しんでいました。
ホテルはお金持ちの個人宅を改造したもの。蔦の這う絵本のような窓辺に植木や花など優しく美しい庭が広がっていました。とても印象深い宿で、アーサーミラーも常連客の一人だったらしいです。相棒は宿にもオーナーにも大きな関心を持っていたのですが、私たちのテーブルに挨拶に来たオーナーが「英語が話せなくてすみません」と言ったため、いろいろ質問することを躊躇してしまいました。相棒は簡単な会話はフランス語で出来るのですが、突っ込んだ話をしてうまく会話が出来なかったら恥ずかしいと思ってしまったらしいのです。
きょう相棒が Bernard Giraudel氏が今年の1月に93歳で亡くなったという記事を見つけて私にメールしてきました。3年前まであんなにお元気で宿を見守っていたのにとても残念でなりません。相棒はあの時 Gioraudel 氏と話をしなかったことを今とても後悔していました。Gioraudel氏はシラノドベルジュラックで知られる町ベルジュラックの生まれだそうです。あの宿で飲んだベルジュラック産の白ワインの美味しさは他に比べようがありませんでした。
オーナーが変わると宿の雰囲気の良さも保たれないことが多いので、Bioraudel氏が生きている内に宿に泊まることが出来てとてもラッキーでした。遅まきながらRIP。