ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

血管迷走神経性失神 (vasovagal syncope)

下欄の続きです。ホテルの会計を済ませた後、帰りの便のキャンセルを携帯でするため、どこか座るところを探しました。ホテルの中庭にベンチがありそうだったのでそこに出てみました。40℃を超す暑さで、日差しも強く、日陰にあるベンチは皆座られていました。仕方なく、日差しの下のベンチに二人で腰掛けました。

相棒は携帯にデルタの係が出るまで長いこと待たされていました。10~20分以上経っていたと思います。何やら相棒の様子がおかしくなってきていました。それで涼しいホテルの中に入るよう言いました。ところが相棒は返事もせず、後ろを向いたまま携帯を耳にあてているだけでした。そして携帯を持った手が震えてきて携帯を落としそうになってきました。相棒の顔をみると瞳が上に上がって気を失いかけて、私の方に倒れてきました。

何が起こったのか分からない私はビックリして慌てて救急車を呼ぼうとしました。しかし、携帯から番号を押してかけることをしたことがなかった私は911(日本の119番)を押してすぐ「もしもし」とやりだしたのですが通話できません。繋がっていないのです。あとで分かったのですが、番号を押してから📞のマークを押さなければ繋がらないのでした。電話嫌いの私の落ち度でした。オロオロ、イライラの私。

すると傍にいた若い人たちがワラワラと助けにやって来てくれました。私が「911を呼び出せない」と泣きそうになると、若い女性二人が連携で911とホテルの警備員に連絡してくれました。それから若い男性が二人、1人が脈拍を計り、もう1人が相棒に話しかけてくれました。相棒は口が回らず質問に答えられない状態だと思っていたのですが、普通に答えていたので驚くとともに少し安心しました。

脈拍を計ってくれた男性は元救命士、話かけてくれた人は元消防士だそうで、相棒が危険な状態でなく、日射病で脱水症状を起こしたのだろうと判断していたようです。本当に助かりました。この若い4人は水を持って来てくれたり、相棒の顔にモノをかざして日陰を作ってくれたりしました。その後、医者だという男性も通りがかって相棒を診てくれました。脈拍と心拍を計れる腕時計を相棒の手に当てて数値を見てくれました。やはり危険な状態ではないと判断したようです。

いくら待っても救急車が来ないので、若い4人が少し歩けるようになった相棒を冷房の効いたホテルの中に付き添って入ってくれました。暫くするとホテルの警備員が来てくれましたので4人は去って行きました。30分いやそれ以上長く付添ってくれて本当にありがたかったです。

警備員は最初に相棒のIDを子細に調査していたのでチョッと気になりましたが、一応良い感じの人たちで暫く様子をみてくれてもう大丈夫だと確認すると去っていきました。私たちは朝から食事を摂っておらず、水も飲んでいなかったので相棒は脱水症状を起こしたようです。

家に戻ってから、相棒は自分に起こった状態を調べていて、数年前に医者から言われたことも鑑み、血管迷走神経性失神 (vasovagal syncope)であったと判断しました。相棒は心臓血管に支障があるので、私はてっきり心臓関連だと思って気が動転してしまったのですが、迷走神経性(vagus nerves)の失神は老人によくみられる症状で、救急車を呼ぶ必要はないそうです。

なんせ、キャンセル続き、損害続きでストレスマックスの時に、更に失神に出くわした私は災難続きの日でございました。