ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

「シオン長老の議定書 」(The Protocols of the Elders of Zion)

馬渕大使に失望したこと:

ちょと「シオン長老の定義書」のことを思い起こしたので、長くなりますが備忘録として書き残しておきたいと思います。

私は  YouTube で数人の人の話を毎日聴いています。その内の一人、馬渕睦夫元ウクライナ大使のビデオもよく見てました。とても勉強になり、大使の人柄にも惹かれていました。ところが大使が「ユダヤ普遍主義」とか「ユダヤ勢力」がグローバリズム推進の黒幕であるということを繰り返すことが多くなり、疑問が湧くようになりました。

というのも、ディープステイト(米国及び欧州の黒幕)と思われるロスチャイルドもロックフェラーもJPモーガンも皆「ユダヤ勢力」ひとからげにして話されていたからです。

無論ロスチャイルド家はユダヤ系ですが、しかしロックフェラー家はバプティスト、つまりキリスト教徒(プロテスタント)、JPモーガンもエピスコパリアン、つまりキリスト教徒(プロテスタント)です。

私がそのことをコメント欄に書き込んだあと、私の質問への直接の回答ではありませんでしたがビデオの中で大使は「ロックフェラーはユダヤ人ではありませんが『ユダヤ思想』を持っている」と語られたのです。

数日前、大使の【世界,日本人の99%が知らないロシアの正体とソ連との違い】https://www.youtube.com/watch?v=G6zDTelGdgI&t=1785s

というビデオサイトを見ていたら、さらにユダヤ普遍思想=グローバリズム=共産主義=ディープステイトと言った感じで話していました。それでコメント欄に下記の質問を書き込みました。

『...いまだにユダヤ思想、ユダヤ勢力ということに関してどうしても納得がいかないでいます。レーニンは祖父がユダヤ系でも自身はキリスト教徒として育ち、マルクスはキリスト教に改宗、相棒のエンゲルスは生まれもキリスト教徒。ブレジンスキーはポーランド系キリスト教徒でソ連とイスラエルを敵対視していた人ではないのですか?大使がユダヤ思想と呼ぶ根本は何でしょうか?』

こんな質問をしたのは、共産主義を唱えたマルクスとエンゲルスの場合、マルクスはユダヤ人として生まれてもユダヤ教ユダヤ人を嫌いキリスト教に改宗しています。エンゲルスは最初からキリスト教徒。共産主義リーダーのレーニンもキリスト教徒として育っています。つまり共産主義者として知られている人たちは殆どユダヤ教徒ではないのです。どうして共産主義、グローバリズムが「ユダヤ思想」を基本としていると言うのでしょうか?という意味の質問なのです。

それから大使はブレジンスキーの著書をよく引用されるので、ブレジンスキーという人はポーランド人でユダヤ人をひどく嫌っていた人。そんな偏見のある人の著書から引用するのは適切ではないと言いたかったのです。

「ユダヤ普遍思想」とはなんだろうと思ってググってみたら、あるサイトで馬渕大使の著書からの引用を見付けました。驚きました。公平な方だと思っていた大使がまさかの反ユダヤでした。

そのサイトのURLはhttp://www.kanekashi.com/blog/2019/07/6427.html

そこに大使の著書の引用文がありました。

―――引用文――――――――――――

ユダヤ思想の特徴は民族主義と普遍主義の二面性にあるという。民族主義の大元は選民思想で、ユダヤ人のみに許される思想。普遍主義はユダヤ民族以外の人間を信じさせるための思想で、これが「人類みな兄弟」などの平等主義や民主主義等近代思想。つまり架空の美化観念。そのために共産主義が試され、現在はグローバリズムを推進している。これは、ユダヤ人が支配する世界統一政府への結実を目指している。

ユダヤ人はユダヤ民族以外の異邦人を飼いならすために世界各国に離散し、「普遍主義」を流布するのが使命。つまり積極的な離散で、これをディアスポラという。こが流浪の民と言われる真実の姿。なんとも恐ろしい民族である

ユダヤ民族の結集軸がユダヤ教。かれらはそれを広めるつもりはない。その他大勢を従わせる観念を広めるのが役割。だからそのための思想は何だって良いのである。

『世界を操る支配者の正体』(馬渕睦夫 著)からの紹介です。

―――引用文おわり―――――――――――――

これにはビックリしました。「なんとも恐ろしい」とは恐ろしい先入観です。選民思想も離散も曲解し、ロシア帝国のプロパガンダ文書「シオン長老の議定書」(The Protocols of the Elders of Zion)という反ユダヤ主義文書を丸呑みにしている。

シオン長老の議定書とは:

この「シオン長老の議定書」を作成(捏造)したのは、19世紀後半のロシア帝国。政治秘密警察組織の内務省警察部警備局がこの反ユダヤ主義文書を作り上げ拡散させたそうです。このプロパガンダという手段、自分たちの落ち度から民衆の目をそらすため他を悪者にして責任を負わせるという政治悪ですが共産主義、レフティストたちの常套手段です。

さらにそのドイツ語版が1922年に出版されヒトラーの愛読書となったそうです。その4年後に出版されたヒットラーの著書「Mein Kampf(我が闘争)」が「シオン長老の議定書」に強く影響されていると推察できます。日本語にも訳され、それを鵜呑みにする日本人も少なくないようです。

余談ですが、日本も1つの悪質なプロパガンダ文書の犠牲になったそうです。「田中メモリアル」という文書がそれ。

映画「The Battle of China」(1944)に登場する文書で田中義一首相が昭和天皇に伝えた日本による世界征服計画文書。作成(捏造)したのは中国。中国国民党のロビー活動が米国世論に大きく影響、第二次大戦で米国の対日戦プロパガンダに利用されたことはご承知の通りです。米国ではいまだに敗戦前の日本をImperial Japanと呼び、帝国主義、アジア領土コロニアル主義であったという汚名をきせる人がいるのが残念です。