2016年11月に観た映画(2)

そろそろ2016年アカデミー候補作品を考える時期になりました。今年2月の The Finest Hours、9月の Sully、そしてこの Hacksaw Ridge、どれも実在した本物のヒーローの話で感慨深い作品ですが、やはり一番ド肝を抜かれたのがこの Hacksaw Ridge。今年のアカデミーはコレだと思います。

Hacksaw Ridge

信じられないほど勇敢な米軍衛生兵 Desmond T. Doss の物語。
宗教上の理由と、さらにある出来事が理由で武器を持たないという信念を懐(いだ)く若者Desmondが「銃を持たずとも戦場で負傷兵の手当てに励む」と主張して入隊します。その信念に懐疑的な米軍は除隊をさせようとしますが、Desmondの愛国心は強く、軍に留まります。そして実際に信じられないほどの勇気と行動力で戦場において神がかり的な果敢さを見せるのです。
舞台は第二次世界大戦の沖縄の激戦。一兵士のセリフに「まるでノコギリの峰(Hacksaw Ridge)だ」と言わせるこの戦いの恐ろしさがこれでもかというほど画面いっぱいに伝わってきます。そんな恐ろしい戦いの中で武器を持たずに負傷兵の手当てと救助に没頭する痩せこけたDesmond衛生兵。日本兵は敵兵として描かれているので、日本人の私としては心苦しい場面も多々ありましたが、見ごたえある作品となっています。
この作品、信念とは何か、真のヒーローとは何かを教えてくれます。監督はメルギブソン。一時アル中でもうダメかと思ったメルさん、まだ健全でした(笑)。おススメの作品。
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余談:戦時中、米国にconscientious objectors [CO](参戦はするが、武器を使わない、人を殺さないという宗教の教えを遵守する人)と呼ばれる人たちがいたことはご存知でしょうか?
COを扱った作品でよく知られているのが Sergeant York (1941)。 ゲーリークーパー主演の佳作。第一次世界大戦で実在した勇敢な兵士の話で、ともすれば重くなるテーマを軽いタッチで仕上げている作品。銃の達人でありながら、人を殺してはいけないという教えを守るPacifist(平和主義者)のAlvin Yorkが入隊し、軍に説得され納得した Sergeant York は銃を持ちます。数百人の敵兵と一人で戦うはめになり、結果、大勢の捕虜を一人で捕まえ、予期せぬヒーローとなります。クーパーがおトボケ二枚目で大変に魅力的な人物を演じています。