ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

パスオーバーのビーガンフード

あれよあれよと言う間に4月になってしまいました。それもエープリルフールに気が付かない内に4日経ってしまいました。

3月25日の日没から4月2日の日没までパスオーバーでした。この8日間の祭日は、エジプトで奴隷となっていたユダヤ人たちがモーゼに率いられて逃亡したという話に因んでいます。逃亡中、悠長にイーストを入れたパンなど焼いておられず、膨らまないペッタンコのパンを焼いて食べて過ごしたと伝えられており、このことからパスオーバーの期間中は膨らませたパンは食べないというルールになっています。そしてユダヤ教の一部には、小麦粉だけでなく穀物類は食べないという厳しいルールもあります。
この期間、小麦粉を水のみで溶いて焼いたマッツォというペッタンコのクラッカーをパンの代わりに食べることになっています。

いつもはオフィス近くの店でシリアルとバナナを買ってランチにしている相棒ですが、パスオーバーの間はシリアルも食べられませんので、この期間だけお弁当を持って出勤します。

お弁当は、前の晩の夕食を多めに作って残ったものを詰めます。日本ではあまり耳にしない食べ物、ファラフル、ハロセット 、それにマッツォというクラッカーが主なお弁当の内容です。残りものでも平気な相棒はニコニコして持って行き、食べ終わったらEメールで「ごちそうさま」と言ってきます。


相棒はマッツォブライという「マッツォ入り炒り卵」のようなものが好きでした。ビーガンになって卵を食べなくなってしまったので、相棒は「卵なしのマッツォブライのレシピ」をわざわざインターネットから探してきました。卵の代わりになるものの材料は、豆腐、豆乳、マーガリン、ターメリック、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、塩コショウ、これらをフードプロセッサーでガーッと掻き混ぜるのだそうです。マッツォを手で適当に砕いて前述のドロドロソースと混ぜ、フライパンに油を多めにひいて焼くだけです(写真は私が作ったもの。ターメリックの代わりにカレー粉を使いました)。出来上がったものは、どちらかというと「カレー味の天ぷらの衣」を食べているような感じです。まぁまぁの味ですが、パスオーバーを遵守する必要のない人にオススメするほどの食べ物ではありません。

マッツォ料理にあうのが、カラメルキャベツ(Caramelized Cabbage)。千切りしたキャベツをシイタケのダシの素と塩コショウで味付けしながら少し焦げ目がつくまで炒めます。キャベツの甘味が出て冷えても美味しいです。

案外美味しいものにハロセット(Charoset)があります。リンゴと胡桃を細かく刻んで混ぜ、赤ワイン、砂糖、シナモンでマリネしたものです。私はこれに干しブドウかデイツを加えます。最近、お酒に弱いので、小鉢に分けたものを食べ終わったら酔ってしまいました(笑)。これは冷蔵庫に入れておいて2日ほど経ったものが美味しいです。

さて、マッツォ(Matzo)は、卵もバターもイーストも使わず、小麦粉を水だけて溶いて焼いたペッタンコのクラッカーで、味らしきものはありません。だから慣れない人には馴染みにくい食べ物です。パスオーバーでなくても私がよく使うマッツォミール(Matzo meal)ですが、これはマッツォを砕いて粉にしたものです。小麦粉の代わりに色々なものに使えてとても便利です。小麦粉を使うと火が通っていない場合ネットリとして不味いですが、マッツォミールの場合は一度焼いてあるのでそういう心配がありません。

特にパスオーバーの料理ではありませんが、小麦粉の代わりにマッツォミールを使ったファラフル(Falafel)は、この期間中、私たちの主食となります。前にも紹介しましたがヒヨコマメのコロッケのようなもの。パスオーバーの時はパン粉は使いません。片栗粉を溶いたものにくぐらせただけで揚げます。皮はお菓子のようにフワッと仕上がります。

写真は私が祭日のセイダー用に我流で並べたものです。左か時計回りにハロセット、マッツォボールスープ、ホースラディッシュ(赤い瓶)、クレソン、ファラフル、ロメインレタス。正式には骨付き肉(手羽とかラムチョップとか)とゆで卵を並べるのですが、肉と卵はファラフルとマッツォボールで代用しました。