Best of Enemies 観ました



60年代半ば、若者とマスメディアが「戦争=保守派」と見做し、反戦運動・反保守派運動を繰り出し始めた頃、William Buckley氏は真の保守派精神を守ろうとし、Gore Vidal氏は反保守派の勢いに乗ってデカダンを押し出していました。
当時二大テレビ局のCBSとNBCに圧されぎみだったABCが68年大統領選中継において「共和党=保守派、民主党=革新派」というスタンスでこの二人を討論させるという新手の手段に出ました。この作品はその討論に焦点をあてたドキュメンタリーです。
両氏ともに裕福な家庭に育ち、教育も高く知的、かつ華やかな語彙の多さも同格ということから期待通りの大変興味深い討論となりました。ただし、バクレイ氏が憤慨のあまりヴィダル氏を罵ってしまう場がありました。感心するのは、この罵りの言葉にしても二人の環境や教育レベルの高さもあって今とは質が違い、時代の流れを感じさせることです。

無意味な四文字言葉FだのSだのをただ叫ぶだけの現在の罵り方に慣れている私などは、この二人の罵りはシェークスピアのセリフを聞いているようで説明を要するものでした。例えば、ナチス!と罵るにしても形容詞がついてクリプトナチス!(隠れナチス)となりますし、「(殴って)動けなくしてやる」というのにも「stay plastered 石膏で固まったままにしてやる」という表現をするのです。罵りというのは短いほど下品で効果があり、長い言葉で罵ると冗長的でユーモラスに感じてしまい、私なら怒るに怒れないです。