ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

自分でも不可解な怒り(1)

普段はノホホンとしている私ですが、時々、胃が痛くなるほどムカッとしてしまうことがあります。たいしたことないんだと自分に言い聞かせるのですが、その日、怒りはいつまでもブスブスと燻っています。これは多分、遺伝性の怒りだと思います。

母はいつもカッカと怒ってました。「怒っているんだぞ」ということを示すためか、怨みの目で睨んで口をギュッと締めたすごい顔するのです。恐かったですよ(笑)。いつもそうだったので、シワが「怨みジワ」になって残ってしまい、母は今では怒っていない時も怨み顔になってしまっています(溜息)。

故父は普段はノホホンとして怒る事はほとんどありませんでした。しかし、怒ったらすごかった。徳のある人になりたくて、我慢に我慢し、お酒で紛らわせていた父でしたが、鬱憤が溜まっていて、シラフの時に何かの拍子で、必死に抑えていた怒りが噴出してしまうことがありました。

私のムカツキは父譲りではないかと思います。いろいろなことを我慢していて、何かキッカケがあるとドバーッと出てしまう。我慢している内に忘れて消えてしまうと思っていたのですが、どうもそうではないらしい。残念ながら、やはり私は器量の狭い人間であるということを認めざるを得ないようです。

きのう、薬局へ処方箋薬を取りに行った時のことです。ピックアップのカウンターに二、三人が列を作っていました。いつもより少ない人数ですので、すぐ終わると思っていました。やっと私の前の客の番になり、やれやれと思っていたのですが、何やら話しこんでから、別の離れたコンピューターの方へ、その客とカウンター係が行ってしまい、薬剤師と一緒にモニターで何か調べ始めました。

私はジッと係がカウンターに戻ってくるのを待っていました。15分以上待ったような気がします。すると私の横のカウンターにスーツを着た中年男性の客がやって来ました。カウンターに身を乗り出すようにしていたその男性に、離れていたカウンター係が気付き「あ、すぐそちらへ行きます」と言ったのです。私はまず、この男性が長く待っている私をチラッと見ただけで、身を乗り出して自分がサービスをすぐ受けるつもりでいる態度が気に入りませんでした。そして、いま来たばかりの男性には声をかけ、長くジッと待っている私には声もかけずにいた係に「なんだ。私はゴミか」とムカッときたのです。社会的ステイタスのありそうなスーツを着た男性は人間扱いし、ポカンとした一見ノータリンのアジア人の私はゴミ扱いするその係に腹が立ちました。「僻(ひが)み根性」まるだしの私。

カウンターにやって来た係は、あとから来た男性の方に行きかけましたが、やっと私に気付いたような顔をして、指で「どっちが先?」というようなジェスチャーをしました。私は怒りで喉が詰まったような声で「長い間待ってたのは私よ」と睨みつけてしまいました。「なんで後から来た人には気付いて、長く待っている私には気付かないよの」とも言ってしまいました。本当は「気付いて」でなくて「声をかけて」と言いたかったんですが、その言葉が頭に浮かびませんでした。「あなたに気付いたから、どっちが先と訊いたんですよ」と係は「なんで怒っとるんじゃ?」という顔をしました。そして処方箋薬を取りにいって「1つですね?」と訊くので「3つだ!」とまだ怒った声で私が答えると、処方箋薬をドサッと怒ったようにカウンターに投げ出して、他の処方箋を探しに行きました。(長くなったので上に続きを書きます。)