ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

小さい人間

実は...二日続けて神経衰弱になってます。日曜の夜から胸がハラハラして寝られず、何とか忘れようとしてもダメで、仕方なく鎮静剤入りのアスピリンを飲んで、やっと寝ました。月曜の朝になっても、なぜか気が落ち着かず、時々、声を出して唸ってしまうのです。自分のとった行動に対して、どうして、あのように反応したのだろう、なぜ機敏に行動出来なかったんだろう、と煩悶してしまうのです。

日曜日に相棒の知合いにお礼方々会いに行きました。義母のアパートの最終的な始末をお願いした人です。面倒で力の要る煩雑作業を全部済ませてもらい、5ヶ月もモタモタしていた私たちは本当に助かったのです。お金を受取るような人でないので、私たちはどのようにお礼をしたらよいか迷っていました。この人とその奥さんは、義母が入院していた時も時々お見舞いに来てくれて、義母と話をしてくれましたので、義母は大変喜んでいました。それで、義母の遺品の1つでミンクの毛皮が残っていたので、それを奥さんに渡すために会いに行ったのです。

業者に観て貰った時、多分ミンクではないだろうと疑われた毛皮ですが、証書にはミンクとなっていますので、それを信じたい私です。信じたいというのは、この奥さんに上げるのに偽ミンクでは申し訳ないからです。

お二人に会うと、奥さんが「私の妹がカスタムジュリーを作っているので」と私に腕輪をプレゼントしてくれました。あれまあ、こちらがお礼をしなければならないのに、と思いながらも、プレゼントは喜んで素直に受け取りました。相手の気持を大切にするためです。相棒がミンクを入れた大きな袋を知合いに渡して「今じゃなくて、あとで開けてください」と言いました。

そのあと、カフェで話をしたら、コーヒー代を出したのも知合いだったと後から相棒に聞いて、一人息子でノホホンと育った相棒のノンキさに、ちょっと歯がゆくなりました。

そして夕食を一緒にすることになりましたが、今度こそ、私たちが支払いをしようと思って、食べ終わる少し前に私が奥へ行ってウェイターに支払いをしようとすると「いえ、もう支払いは済んでます」と言われて、アタフタしました。ウェイターが「最後のティーの代金は支払われていません」と言うのを、あまりアタフタしていた私は「ティーの代金はオンザハウス(店のサービス)です」と受取ってしまいました。そして、向こうのテーブルで知合いの奥さんが笑いながらこっちへおいでと手招きするので、そのまま席に戻ってしまいました。

知合いが私に「それでティー代だけ支払ったの?」と訊くので、オンザハウスだと思っていた私は「いいえ、払ってません」と平気で答えたのです。すると奥さんに向かって「ティー代払ってきて」と言うのです。その時、アッと気がついた私ですが、もう奥さんは立って向こうに行っていました。私は頭が混乱してしまいました。「あれれ、どうしよう、この人たちに今さらティー代払うといってもきかないだろうし」と何も言わず何もせずに、頭の中だけアタフタしていました。

ウェイターがティー代は支払われていないと言った時、すぐ払うことをしなかった私の判断力のなさに、もう自分が嫌になってしまいました。その自己嫌悪感が日曜日から火曜日の今も続いているのです。

「どうっちゅうことないだべぇ」と言われそうなことにオロオロする私は、ほんとに人間が小さいな、と思います。心の広い人間になるには、些細なことなら他人でも自分でも許すことだ、と今必死に自分に言い聞かせているところでござい。