ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

時代遅れ

マンハッタンの小売店の品揃えが私には合わなくなってきています。10年あまり前から、まず裁縫小物を売る店がなくなってしまいました。ちょっと糸とミシン針を買おうと思えば、洋服問屋の集まるミッドタウンに足を伸ばし、まるで「知る人ぞ知る」とでも言うように見逃してしまうほど目立たない構えの店が1軒ほどあり、そこへ行くしかありませんでした。


昔、押し売りが売っていたような平たいゴムひもが欲しい時があるのです。問屋専門店ならあるかも知れませんが小売店では売っていません。押し売りに来て欲しい(笑)。
押し売りなんて商売も今は知らない人が多いでしょうね。顔に傷でもありそうな強面(こわおもて)の男が「務所から出てきたばかりなんだ。ゴムひも買ってくれねぇかい」と玄関に居座る...そんな光景見たことない人が殆どでしょうね。私が幼い頃は家に押し売りが来たことが何度もありました。

それから携帯でなく普通(ランドライン)の電話機を置いてある店もマンハッタンから消えています。昔は文房具チェーン店に行けば山ほどあったのですが、今は殆どがプリント用品とかインクとかの部品が置いあるだけになっています。なんでもオンラインで購入できるので、スペースの高価なマンハッタンでは必要最小限度のモノを置く小さな店だけにしたのでしょうか。

私の身体と同様、家の電話機も古くてガタがきたので新規購入する必要がありました。マンハッタンでは見つからなかったので川向こうのニュージャージーのショッピングセンターにあるステイプルズに行ってみたら、やっと電話機が見つかりました。この店も近い将来インクなどしか置かない小さな店になってしまうかも知れません。もう買いに行くのは辛いので、この新しい電話機の寿命が私より長いことを願って止みません。

私も時代遅れになったようですが、別に悲しくありません。私の世代、アナログの時代の方が充実していて良かったような気がします。今の世代は何だか妙に哀れな気がしてきます。アニメやらゲームやらデジタルの虚の世界で暮らす人生って薄っぺらで虚しいです。