ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

Never Look Away 観ました

Never Look Away

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脚本兼監督はドイツ人。荒筋をザッとみた私は「またロクでもない男女の話だろう」と早とちりし、観る気になりませんでしたが、あとで相棒が「それだけじゃないみたい」と言うので観てみました。

実に「それだけじゃない」作品でした。

ナチスがユダヤ人だけでなく、ドイツ人の精神異常者などの劣者をガス室で殺していたということ、隔離するのではなく殺していたということを知りました。ナチスは、ユダヤ人は役に立とうが立つまいが殺す、そして役に立たない迷惑な人間は(ユダヤでない)ドイツ人であっても抹殺するという主義でした。

戦後、画家を目指していたドイツ人の若者が大好きだった叔母を死なせたナチスの医師と皮肉な巡り合いをします。若者は自分の芸術作品を通して有名になり、ナチスの医師はその作品に自分のおぞましい過去を見て驚きます。ただ、若者は叔母を死なせたのはこの医師だと知りません。そして自分の作品をみた医師がなぜ恐怖に慄(おのの)いたのかも分かりません。そこが実に上手いです。ハリウッドの陳腐なストーリーがますます安っぽく思えてくる、いい作品でした。

余談:ナチスをよく思っていなかったドイツ人たちの間に面白いジョークがあったようです。挨拶の時に必ず「ハイルヒットラー」と言わなければならないのが嫌なら、3リットル (ドライリッター)とドイツ語で適当に早口で言うとハイルヒットラーと聞こえるのでそう言えばいい、と。何人の人がそう言っていたのでしょうかしらん。