ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

ネガティブな流れ

昨日はネガティブなことに3回出遭いました。今朝、時間が忘れさせてくれると思っていたのですが、思い出すとまだムカッとしてしまい、老いても達観できない自分が情けなく思えます。

外部からのネガティブな接触に対して普段はあまり気にも留めないでいられるのですが、昨日はあまり体調がよくなかったのか、3回も神経をつつかれるとダメになる私でした。

最初のネガティブサインは昼過ぎにありました。ドアの方でガサガサ音がするのでチョット覗いてみるとドアの下の隙間から手紙のようなものが押し込まれていました。よく郵便物の配達間違いがあるので、きっと間違って配達されたものを届けてくれたのだろうと最初は思っていました。ところが、取り上げてみると3つに折られた罫線メモ用紙が一枚、表に「お願い」と書いてありました。開けてみるとお隣さんからで、要約すると『お宅の目覚ましラジオ(朝8時)がうるさいので別の場所に置き換えてもらえませんか?』ということでした。とても気を使った書き方で『私たちは夜型の人間なので、もしそちらに迷惑をかけていることがあれば言ってください、改善します』とも書かれていました。

相棒はこのアパートに40年近く住んでいて、今まで両隣から文句を言われたことはありません。お隣さんは数年前に引っ越してきたのですが、引っ越してきてすぐにやはり手紙を貰いました。私たちの寝室と隣り合わせにお隣さんの寝室がセットされたようで、私たちの旅行中(2週間ほど)に『目覚まし時計が毎日なり続けて眠れなかった』ということでした。

目覚ましセットを解除し忘れた私たちはとても恐縮してしまい、20年物のワインを持って謝罪しました。その時は隣同士の挨拶も兼ねてお隣さんへ招かれ少し話をして和気あいあいに終わりました。私たち夫婦はあまり社交的でないので、その後はお隣さんと話しすることもなく、たまにホールで挨拶する程度のお付き合いで今日にいたります。

今回また目覚まし時計です。置く場所を変えてくれと言われても目覚まし時計はベッドの横に置かなければ意味がないのです。つまり丁寧ではあっても『ベッドの置き場所を変えろ』と要求していると取れます。あとから引っ越してきて前の住人に家具の置き場を変えろというんですねぇ。自分たちが変えろや、と一瞬思いましたが、仕方なく一人で家具の置き換えを始めました。若い頃は力があったのですが、もう70のお婆さんです。腰の痛みと右足の痺れを我慢しながら、重い木製の家具をアッチコッチ押し動かし、少し休んではまた動かしました。電話やランプなどの配線も変えねばならず、家具の裏のホコリを拭き取りながら「大掃除だと思えばいいか」と自分を慰めていました。

次に、家具移動のあと、ゴミ捨てに出たのですが、鍵を持たずに出てオートロックのドアが閉まってしまいました。ロビーの管理室に合鍵があるのでそこで鍵を借りて事なきを得ましたが、ここから何かネガティブな流れになったようです。

そのあと薬屋に処方箋薬を取りに出かけました。スーパーの買物はしないつもりでしたので車付き買物袋は持って行きませんでした。ところが外出の嫌いな私は明日また出かけるのを避けるため、ついでにスーパーで少しだけ買っていく気になりました。店に入ると、必要だった1ガロンの蒸留水が目に留まり買い込んでしまいました。他にもいろいろ入れたカゴが重くて、レジの列に並んだ時に床に置いてしまいました。そしたら前に並んでいた男が後ろに下がってきて置いたカゴが男の足にさわったようです。その男は私がすみませんとか言ってカゴをどけるかと思ったのかもしれません。私は疲れていたし、カゴを置いた時は男は前に離れていたので、下がってきたならまた前へ戻ればいいと思って何も言わずカゴを置いたままにしていました。その時私は男が立腹したと気が付きませんでした。その後、列が動き出したのでカゴを持って前へ進むと、男が首を振って呆れたというような態度で “Madam! Please keep six feet away from me!”と強い口調で言い放ったのです。使った言葉は丁寧でも要は「おいオバハン!俺から6フィート離れろよ!」って感じ。私は呆気にとられました。ま、6フィートではなかったけれど4フィートは離れていたのです。列に並んでいる他の人たちも4フィートぐらいしか離れていませんでしたので私だけに怒鳴りつけるのが解せませんでした。最初、なんだろ?この威張った男はと思いましたが、返す言葉もなく、10フィートぐらい離れてあげました。そして頭の中でこの男をボカボカ殴っていました。この男に悪いことが起これ、と呪っていました。この男に言い返せなかったのが無念で、帰り道、ずっとどう言い返せばよかったか、などと考えていました。「お前のような臭い人間には6フィート以上離れてやる」と言えばよかったかな。今度、こういう威張った輩(やから)に出くわしたら Smelly Fish Head と呼んでやろうと思います。

老いて達観できるようになったと思っていた自分は浅はかでした。まだこんなに感情的になるなんて自分は全く卑しいレベルのままの人間であると再認識させられました。