ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

アンベイリング(墓石の除幕式) ①タップスが聞こえる墓地

きのうの日曜日、義母の墓のアンベイリング(除幕式)をしました。義母の墓は義父と二連になっていて、刻字はこの春に済んでいたのですが、アンベイリングというのは葬式から数ヶ月経ってから行う慣習のようです。事情によってはお墓をすぐ作れないこともあるからなのかも知れません。

相棒は夏と冬は避け、気候のよい秋に行うつもりでいました。先月、義母の兄弟姉妹でたった一人生き残っている叔父に連絡を取ると、11月18日が都合がよいと言うことで、この日曜日となりました。幸いにも、たいへん良い天気となりました。

墓地へ着くと駐車場は他の葬式の人たちの車で埋まっていました。1台の車から儀式用のブルーのユニフォームを身に着けた海兵隊員が降りてきました。「あ、マリーンの葬儀があるんだ」と思いました。このマリーンのミッドナイトブルーのユニフォームに私はすごく弱いのです。ものすごくカッコイイと思うのです。だれが着てもハンサムでステキな人に見えてしまいます(笑)。ユニフォームを脱ぐと「何だ、こんな凡人だったかや」とがっかりしてしまいます。


駐車している車の中に白いバンがありました。そのバンの後ろの窓が開いていて、そこからクリーム色のラブラドールが顔を出していました。肩を落としたその犬の大きな黒い目は、本当に本当に悲しげでした。私が微笑んでもショゲた顔を向けて、悲しい目が私の歩く姿を追ってきます。「ああ、飼主が死んでしまったんだなぁ」と思い、私も悲しくて仕方なくなりました。もしかしたらマリーンが飼主だったのかしらとふと思いました。

義母のアンベイリングに集まった人たちは少なく、叔父夫婦とその娘夫婦や孫たち、孫姪甥たち、相棒の従弟(父親の妹の息子)とガールフレンドぐらいのものでした。式は20分ぐらいで終わり、私が近くに止めてある車の方へ向かうとタップスが聞こえてきました。そう、あのニニロッソの♪夜明けのトランペット♪の原曲。「アーッ」と思って音のする方を見ると、少し離れた墓の前でマリーンのユニフォームのビューグラーが吹いていました。吹き終わると、別の二人のマリーンが棺にかけてあった国旗を取上げ始めました。亡くなったのはどんなマリーンだったのだろうか、引退して老衰で亡くなったのだろうか、戦闘で若くして戦死したのだろうか、と考えてしまいました。私があんまり真剣にジッと眺めていたので、義母の式に呼んだラビが車の中から私を不思議そうに見ていました。