ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

週末、映画2本観ました

A Separation
イラン映画。痴呆症の父親、その息子夫婦、夫婦の娘という構成の家族と、その家族に雇われた介護人の女性、それにその女性の夫が加わっての苦悩と葛藤が描かれます。

この作品、今年のアカデミー賞外国映画部門で最優秀作品賞に選ばれています。気にはなっていましたが、なかなか観る気がしませんでした。「痴呆症の親」の話は私にはあまりにも現実的で重苦しく、観れば悲しみで押しつぶされてしまうと思っていたのです。でも相棒が観る気になったので私も相伴いたしました。

凄い作品でした。今のハリウッドの連中には作れない演出と演技、リアルで奥深くて人生の疑問を観客に投げかける作品です。痴呆症の父親がストーリーの発端になってはいるのですが、痴呆症の介護の詳細な苦しみを中心とするのではなく、それよりも他人同士の誤解、家族を守るためのホワイトライ、善処を追及する姿勢などが前面に出て展開していきます。そして、必死にオブラートをかけてはいるものの、現イラン政府への批判が根底に流れています。粋な演出で、観客の解釈に任せるような余韻を残して終わっています。

こういう作品が増えてくれると嬉しいんですが...。

[日本では『離別』というタイトルで4月公開されるようですね]