ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

アンナスイに似てる

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今から35~6年前、NY市のWPIXというTVニュースチャンネルのレポーターの一人にポーリン・ルーという中国系の女の子がいました。輪郭が私に似ていて髪型も同じだったので遠くから見ると私とソックリに見えました。その頃の私は肥っていませんでした。ある時、私が同僚と昼休みに外で休んでいた時のことです。同僚が私をつついて「ジャック・キャファティがあなたをジッと見てるわよ」と言うのです。キャファティ氏は同じWPIXでニュースキャスターをしている人で、たまたま同じ場所で休んでいたようです。私が目を向けるとキャファティ氏は自分がジッと見つめていることにやっと気が付いたようにサッと目を逸らしました。私はすぐピンときました。あ、ポーリンによく似ていると思ったんだな、と。

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それからずいぶんと年月が経ち私が肥りだしたのは仕事を辞めた2000年から数年経ってからのことです。どんどん肥りだして四角い顔が丸々してきました。そしてその頃アンナスイというデザイナーを知りました。肥った私はアンナスイによく似てきました。アンナスイは申し訳ないけど醜い顔だと思います。お化粧もヘタクソで田舎臭くて、彼女のデザインもあまり好きではありませんでした。なんでこんな人が人気のあるデザイナーなんだろうと不思議でなりませんでした。そしてこの人に似てるなんて嫌だなぁと思っていました。

一方、男性用のデザイナーであるトミーヒルフィガーの機能的で着易くシンプルなデザインは相棒にも着られるものだったので私はヒルフィガーの作品が大好きでした。

そんなある日、相棒と私はDawatというマンハッタンの東にあるインド料理屋で食事をしていました。するとヒルフィガー氏が奥様と食事を終えて入口の方へ出て行く姿を見たのです。私は好きなデザイナーが出て行くのを見たのでニコニコ笑って手を振ってしまいました。私は個人的に知合いでなくても好きな人には手を振るクセがあるのです。私は「あなたのファンですよ」というつもりで手を振ったのですが、ヒルフィガー氏は、ニコニコして気安く手を振る私を見て同業のアンナスイだと思ったらしく、ワザワザ私の方へ向かって歩き出そうとしたのです。私は「オッとイケネェ、アンナスイと間違われた」と思って下を向いてしまいました。するとヒルフィガー氏は足を止めて暫く別の人と話していて、出て行く前に私に向かって ”It was nice meeting you” (会えて良かったです)と挨拶して出て行きました。ヒルフィガー氏がデザイナーとしてだけでなく人としても礼儀正しくて更に好感がもてましたけれど、私はもう穴があったら入りたいような気持になっていました。

っとこんなことが昔あったのです。

さて、きょうは近くのコロンブスサークルの The Museum of Arts and Designでアンナスイのデザインが展示されていて相棒が興味を示したので一緒に出掛けました。するとミュージアムの入口にあるエレベータの近くに立っていた係の女性が私に向かって「あなたアンナスイの展示を見に来たんでしょう。分かるわ。アンナスイに似てるもの」と言うのです。彼女に似ていると言われるとあんまり嬉しくないです。肥満して老いてますます醜くなってきているので仕方ないけれど、いやですねぇ。