ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

デジタル化の落とし穴

ここ数週間、相棒の血圧が異常に高くなっていて、私はパニックになり、即、掛かりつけの心臓専門医に行くよう相棒に勧めました。しかしその医者は冬のバケーションで予約が取れず、取り敢えず手術をしてもらったことのある心臓外科医に診てもらいました。そこで測定した血圧も普段より高かったため、処方箋薬を替えてもらって様子をみることにしました。それでもずっと血圧を測るたびに高いままでした。そして掛かりつけの医者が戻ってきた今日、予約を取り付けて、やっと診てもらうことが出来ました。

相棒から診察の後連絡があり、専門医が計った血圧は正常だったというのです。30ポイントも差があるのです。医者によると「家庭で使っているデジタル血圧計は電流の関係でセンサーがずれてしまうことがある」ということです。その医者はそれに気が付いてからデジタルは止めてマニュアルの血圧計に替えたといいます(前述の外科医はまだデジタルを使用していたようです)。経験のある医者のマニュアル(手の感覚)による計り方の方がオートマチックなデジタルより信頼できると納得しました。

家庭で安易に使用できる医療器具に翻弄された私たちですが、安心するとともに何でもデジタル化された家庭の器具の信頼性について考えさせられました。

古いものを使っている私たちでさえ、テレビ、電話、掃除機、体重計、血圧計、体温計などがデジタルになっていますので、若い人たちの家庭ではもっと色々なものがデジタル化されているものと思います。最近は錠や鍵などもデジタル化しています。そのセンサーがずれてきたらどうなるのでしょう。

この心臓専門医のように知識と経験が豊富な場合、そのずれに気付き、適切に対処することが出来ますが、知識のない人たちはデジタルの数値を信じて不適切な方向に行ってしまうのではないかと思います。

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それで思い出したのが車のGPSです。

ある時、バージニア州の町を走っていて予約していたホテルに行くためGPSを稼働させました。しばらくして、GPSが女性の声で「そこを左へ曲がりなさい」と言うのです。そこは左折禁止の逆一方通行でした。私はそれを知らず「そこを左へ行くって!」と素通りしようとする相棒に叫んでしまいました。相棒は「行けないんだよ」と言ってそのまま進んで行くと、GPSからスッ呆けたように落ち着いた声で「リカリュクレイティング(やり直します)」と聞こえてきたので、二人で笑ってしまいました。GPSの声の通りに進んで谷に落っこちそうになったなんて話も聞いたような気がします。デジタル化も過ぎると危ないです。