ユタ州南部の日常

ユタ州南部での隠居生活

逆カルチャーショック

今日は相棒のエコー検査のため病院へ行きました。早朝のアポですが車で15分足らずの所なので助かります。この地はどこも綺麗ですが、病院もとても清潔で働く人たちも親身になってくれます。

ゆったりした待合室で待っていると別の患者さんたちがやってきて座りました。私たちの並びのイスに座ったのは中年の夫妻で、車椅子の奥様を旦那様が押していました。相棒の最初のセッションが終わったあと、この夫妻が呼ばれて検査室へ入って行きました。すると相棒が夫妻がいたイスに財布が丸ごと置いてあることに気が付きました。置いたのではなく、多分ポケットから落ちたのだと思います。私が慌てて追いかけ検査室の入口のガラスドアを開けようとしましたが、内側からしか開かないようになっていました。でも、中にいた看護婦さんがそれを見てドアを開けてくれたので「今、車椅子で入って行った人が財布を落としていったので渡して下さい」と説明しました。看護婦さんはすぐそのようにしてくれました。

セッションの終わった夫妻が出て来て、次のセッションまで同じ場所に座りました。私が「財布、受け取りましたか」と訊くと「ああ、年がら年中、財布や携帯を落として、アレッどこいったかな、とやってます」とノンキな返事が返ってきました。このノンキな態度から、この地では財布を落としても日本のように戻ってくるんだろうと推察しました。

それから、私たちが引っ越して来てまだ数か月だと分かると、近くの良い景色の場所をいろいろと教えてくれて、とてもよい情報を貰いました。病院の待合で初めて会った人とこんなにたくさん話をしたことはありません。これも土地柄なのかも知れません。

1カ月ほど前、車のメンテに行った時、お店の人が「ここの人たちは人を助けようとする」と言っていましたが、本当にそうでした。例えば買物のあと駐車場でチョッと荷物にもたついていると need help? (手伝いましょうか?) と訊いてくる人が必ずいます。また車の走行中、お互い道を譲ってお見合いすることがよくあります。NY市では考えられないことです。

50年以上前、日本からNY市マンハッタンに来た時に負のカルチャーショックを受け、今ここに引越して来てまた逆カルチャーショックを受けました。

米国は広いです。よく日本の人が「アメリカは...」という表現を使うのを聞くことがありますが、これはかなり誤解を招く言い方です。米国50州、州政府も州法も違えば環境も全く違いますので「アメリカは...」と1つにひっくるめず「○○市は...」と特定して言う方が無難です。

余談ですが、同じ州でも例えばNYアップステート(州の北部)はNY市とは全く違います。NY市の人が話す時「ニューヨーク」と言えばNY市、それもマンハッタンを指していることが多いです。因みに、NY市はマンハッタン、ブルックリン、ブロンクス、クィーンズ、スタッテン島の5区域からなっていますのでマンハッタンだけがNY市ではありません。